米朝関係はうわべだけ
さて、ポンペオ氏は興味深い発言を行っています。
それは、日本人拉致問題について、「北朝鮮の金委員長は米側が提起する前から把握していた」とした点です。
金委員長の具体的な反応には言及しませんでしたが、「米国は北朝鮮側との対話の機会がある度に、拉致問題を提起し続ける」としています。
しかし、これこそが、米朝関係がいかにうわべだけのものであるかを物語っています。
初のロ朝会談が実現
さて、米国と中国と微妙な関係を懸念して、北朝鮮はロシアとの関係構築に動き出しました。
金委員長は、ロシアのプーチン大統領からの国務委員長再任の祝電に対して、謝意を示す答電を送りました。金委員長はこの中で、プーチン大統領に「朝鮮半島と世界の平和と安全を守るため、緊密に協力する用意がある」と伝えたと報じられています。
そして、ロシアは金委員長が4月後半に訪ロすると発表しました。そして、金委員長の訪ロが実現する運びとなりました。初のロ朝首脳会談の実現です。
金委員長氏は、伝統的な友好国であるロシアとの関係について、「新時代の要求に合わせ、持続的、建設的に発展させる」としました。
金委員長の国務委員長再任を受けて、中国の習近平国家主席も祝電を送りましたが、いまは金委員長はロシアを重視していることが明確になったわけです。
金委員長は25日にロシアのウラジオストクでプーチン大統領と会談しました。
北朝鮮の最高指導者の訪ロは、11年8月に金委員長の父・故金正日総書記がシベリアと極東地域を訪れて以来とのことです。現地には、金委員長の「執事」と呼ばれるキム・チャンソン国務委員会部長があらかじめ到着し、会談予定地のルースキー島にある極東連邦大学などを下見しました。入念な現地調査です。さらに、金委員長氏の妹の与正党第1副部長も事前準備のため、既に現地入りしたとされています(※編注:原稿執筆時点2019年4月26日)。極東連邦大には両国の国旗が掲げられました。
金委員長は2月のベトナム訪問時と同様に特別列車を利用し、北朝鮮北東部の羅津などを経由し、ロシア入りしました。26日までウラジオストクにとどまる予定で、現地の軍事歴史博物館などを視察する可能性が指摘されています。
ロシア入りを前に、金委員長はロシア国営テレビの取材に応じて、「私はわが国民の温かい気持ちとともにロシアに来た。この訪問が成功し、有益なものとなるよう願っている」としました。
さらに「尊敬するプーチン大統領との会談の際には、朝鮮半島情勢の解決と2国間関係の発展に関し、具体的に議論できることを期待している」と発言しました。