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トランプに踊らされ続ける金正恩、ロシアにすり寄った北朝鮮の末路とは?=江守哲

なぜロシアに急接近?

また金委員長は、ロ朝友好施設「金日成の家」も訪れたようです。

金委員長には、2月のハノイでの米朝首脳会談にも同席した李容浩外相や崔善姫第1外務次官が同行しました。しかし、これまで非核化交渉の前面に出ていた金英哲党副委員長の姿が確認されず、物別れに終わったハノイ会談の責任を問われ、外された可能性が指摘されています。

金委員長は、トランプ大統領との再会談に前向きな姿勢を示しましたが、年末まで「米国の勇断を待ってみる」と強調し、譲歩の姿勢は見せていません。

そのため、国連安保理常任理事国で米国との関係悪化が続くロシアへの接近を図ることで、制裁維持の構えを崩さないトランプ政権をけん制する狙いがあるとみられています。

しかし、裏ではトランプ大統領とプーチン大統領は仲が良いことで知られています。あくまで裏の世界の話ですが。

金委員長はそれを知っているのか、知らないのかわかりませんが、いずれにしても、表面上は対立が続く米ロ関係を利用しようとしたと考えるのが普通でしょう。

プーチンはどう出る?

一方、ロシアは北朝鮮が主張する「段階的非核化」を支持しているほか、安保理でも中国と足並みをそろえ、「完全な非核化」前の制裁緩和の必要性を強調しています。

また、ロシアは03年に始まり、08年に中断した北朝鮮核問題に関する6カ国協議の再開に前向きな姿勢を示しています。

ただし、ロシア側は首脳会談で、協議再開に関して何らかの合意を目指すという見方は正しくないとしており、今回の会談で具体的な方針が示されることはないということです。

とはいえ、プーチン大統領のことですから、何かしらの突拍子もない発言があってもおかしくないでしょう。

ロ朝会談の結果は…

さて、実際の会談では、金委員長は「米国は2回目の米朝首脳会談で一方的な態度を取った」と批判したようです。

また、「朝鮮半島情勢は原点に戻りかねない危険な状況だ」と警告し、その上で「平和と安全保障は米国側の態度に懸かっており、あらゆる状況に準備する」と話したようです。

プーチン大統領はこの発言を、冷静に聞いていたことでしょう。

さて、会談が終了し、会談の詳しい内容が徐々に手元にも入ってきました。

金委員長は、「朝鮮半島の平和と安定は完全に米国の今後の態度に左右される」との考えを示したようです。

これは、北朝鮮の制裁緩和要求の受け入れで、米国がより柔軟になるよう圧力をかけ続ける意図があると思われます。

さらに、金委員長は2月末の米朝首脳会談について、「米国が不誠実で一方的な態度を取ったことから、朝鮮半島情勢は膠着状態に陥り、最初の状態に戻りかねない状況に至った」とプーチン大統領に説明したということです。

その上で、「北朝鮮は全ての状況に備える」と発言したようです。かなり強硬な態度といえます。

Next: プーチンにも強気をアピールする金正恩、その狙いとは?

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