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アメリカは赤字から抜け出すことができるのか?収益をひっ迫する医療費への対策とは=シバタナオキ

最大の支出 = 医療費

出典:同上

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こちらの図は支出の内訳を表しています。30年前は支出の総額が$1.1T(約110兆円)でしたが、2018年時点で$4.1T(約410兆円)と支出総額が約4倍に増加しています。

その中でもグラフの青い部分部分であるEntitlementは、30年前と比べて全体に占める割合が42%から61%に増加し、5倍以上の金額に上っています。国防費は30年前と比べて比率が27%から15%へと減少し、金額的には約2倍程度の増額に収まっているにもかかわらず、年金医療などの給付金が膨大に膨れ上がってきてることがおわかりいただけるかと思います。

ちなみに、アメリカも日本と同じく国債が非常に大きく積み上がってきています。30年前と比べると7倍以上になっていますが、国債の利回りの支払いは30年前に比べて2倍程度に収まっています。これはグラフの黄色い線が示す国債の利率が大きく下がってきているからです。

さて、アメリカの最大の金食い虫である「Entitlement」と呼ばれる給付金がどこに使われているのかということを見てみたいと思います。

出典:同上

出典:同上

こちらがEntitlementの内訳になります。日本で言うところの「年金」に相当するSocial Securityや、「生活保護」に相当するIncome Securityも増えてはいますが、最も大きく増えているのがグラフの中央に位置する「Medicare(メディケア)」と「Medicaid(メディケイド)」の2つになります。

Medicareは65歳以上の高齢者向けの健康保険を保証する制度で、Medicaidは低所得者向けの健康保険を保証する制度です。

アメリカでは「健康保険」は日本のように国が全国民に提供するものではなく、各個人が自分で保険会社から購入しなければならない制度になっています。このグラフを見る限り、高齢者や低所得者向けの健康保険と医療費を補償するための費用が、国として最もお金がかかっている項目だと言えるでしょう。

Next: アメリカの医療システムにまつわる問題点とは?

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