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アメリカは赤字から抜け出すことができるのか?収益をひっ迫する医療費への対策とは=シバタナオキ

アメリカの医療システム再生になるかもしれない打ち手

出典:同上

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一つ目は医療データを電子化するという取り組みです。右のグラフは電子カルテを導入している病院の割合を示しています。青色の折れ線が示す大規模病院の導入率はほぼ100%。小規模なクリニックも急速に100%に近づいていていることがわかります。

このグラフにあるように、すべての医療データが電子化されると、Administrative(管理)コストが少しずつ下がっていくことが期待できるのではないでしょうか。

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アメリカの病院というのは基本的にアポイントメント(予約)が必要です。アポイントメントがない場合は、アージェントケアと呼ばれる救急病院に行く必要があります。しかしほとんどの救急病院は待ち時間が非常に長いうえに、費用が通常よりもはるかに高額になります。

管理体制が整っている病院ばかりではないので、アポイントメントを取ってから受診するまでに平均で24日も待たなければならないというデータがあります。

それを解決するのが「Solv」と呼ばれるサービスです。必要に応じてアージェントケアを提供するというもので最短で15分、通常2時間程度でアージェントケアのアポイントメントがとれるので、受診までの待ち時間が大幅に削減されます。

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病院に行く必要がある場合もあれば、単純な風邪などの場合は遠隔でも十分診断ができる場合もあります。そんなニーズに応えて、「Telemedicine(遠隔医療)」が大きく普及してきています。

左のグラフは、Telemedicineを採用している病院を示しています。採用している病院が8割近くまで増えていることがわかります。右のグラフは、Telemedicineの受診者数を表しています。受診者数は右肩上がりで増えていて300万人に届く勢いです。

アメリカに住んでいる私の体感値としても、Telemedicineが増加しているというのは納得感が高いデータです。最近は健康に関して重篤な症状ではなく少し困った程度であれば、病院に行くのではなく、自分の主治医にメッセージを送り、必要であれば電話をして解決するケースが圧倒的に増えました。

このように遠隔医療で病院に行かなくても問題が解決できるケースが増えており、とても時間の節約になるだけではなく、医療費も大幅に削減できていると体感しています。

出典:同上

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最後は「予防医療」の事例です。

いかにもアメリカらしいやり方ですが、図の左側のようにアプリ上で指定された健康に良いタスクをこなすと、ギフトカードなどの報酬が得られるというサービスが出てきています。右のグラフは、タスクに対して支払われた累計の報酬額で、急速に伸長していることが分かります。

医療費を削減する一番良い方法は病気にならないことなので、このように予防のために多少の報酬を付与したとしても、トータルとしてはコスト削減になるという考え方に基づいています。

以上、今回はアメリカの国家予算と主に医療費周りの問題点とその解決策を整理してみました。皆さんはどのように感じられましたでしょうか。

Internet Trendsに登場する「アメリカの国家としての決算」は、私が個人的に大好きなシリーズなので、また機会があれば取り上げてみたいと思います。

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image by: Agenturfotografin / Shutterstock.com

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『決算が読めるようになるノート』 2019年7月16日号『Q. アメリカを一つの企業として見た場合の営業利益率は?』より抜粋
※記事タイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部による

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