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さあどうするイエレン議長、押しても引いても市場大混乱の利上げゲーム

逃げ場を失ったFRBがとり得る「第3の道」

後者の場合も、市場にはリスク・オフをもたらし、FRBとしては逃げ場がなくなります。

内外のメディアから昨今の市場不安は、米国の利上げが原因との批判が強まっていることもあり、FRB内部には利上げ見送りの機運が高まっているように見えます。それでも、これを前面に出せば、市場に無用な不安を持たせ、かつネオコンの反発も予想されます。

そうなると、FRBの選択としては、第3の道をとるしかありません。つまり、市場の不安は無視できないので、これを十分考慮し、市場の安定が戻れば利上げサイクルを進める、という条件付きの利上げ示唆に留めるのが得策と見ます。これで10日の証言をきっかけとした市場の混乱は回避され、3月のFOMCまで先送りとなります。

そうなると、3月のFOMCはどちらにしても市場には波乱要因となります。これまでの米国の独り勝ち、出口の抜け駆けは、結局その間のドル高で薄められ、米国景気の減速、単独利上げの困難さを誘引したことになります。

結局、米国の利上げ見送りが経済的には自然で、それでもネオコンの戦略優先で利上げを強行すれば、世界的な株安、混乱を呼ぶでしょう。

逆にここで利上げを見送れば、FRBには「第2の速水」との声も予想され、FRBの信認を傷つけるほか、それだけ米国経済の不安が大きくなったか、市場の不安をFRBも強く懸念している、との理解から、市場にリスク・オフが広がる可能性があり、そこでは米国の利上げを想定したドル買いが巻き戻され、株価下落と相まって円高が大きく進む可能性があります。

ひところ、利上げを嫌い、利上げ懸念後退につながる弱い指標を好感して株が上がる場面が見られましたが、昨今はFRBの意向にも拘らず、市場は利上げ困難と見ています。足元でも弱い指標で株は売られています。

ここで利上げ見送り判断が出た時の反応は、やれやれの安心の買いになるより、それほど経済が悪いのか、の不安がより強く出る懸念があります。

ロンドン勢が勝った場合、安倍政権にも大きな影響

参院選前にリスク・オフの株安、円高が進んだ場合に日本はどう対処するのか。そこでは日銀もマイナス金利の副作用を考え、追加利下げにはかなり慎重になるはずです。日銀は温存した量的緩和の追加を改めて持ち出し、マイナス金利はアナウンスメント効果の範囲内に抑えるのではないかと思います。

同時に、ロンドン勢とNY勢の争いでロンドンが勝つようなら、米国ネオコンの後押しで成り立つ安倍政権も、それだけ後ろ盾が弱まることを意味し、外交戦略の見直しも必要になります。

そこまで政権内に気転の効いたスタッフがいるのか、いささか不安ではありますが。

【関連】黒田総裁「必要な場合さらに引き下げ」の危うさ~マイナス金利は無制限ではない

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マンさんの経済あらかると』(2016年2月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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