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どうなる米追加利上げ~FOMCメンバーの心証は再度タカ派に傾く可能性も

近い将来、市場の見方がFOMCの見方に収れんして株価下落へ

先ほど、ハト派とタカ派の先週の発言を比べて、彼らの慎重にというのは今年6月程度だということが予想できました。一方で、従来通りという見方もあったので、今年の第1回目利上げは(年4回を想定した場合の)3月から(年2回を想定した場合の)6月の間だろうという推定になったのです。

しかし、利上げを示唆する雇用統計を受けて変わったマーケットの見方は、FOMCの最もハト派よりもはるかにハト派的な見方になってしまっているのです。

これは近い将来に(長くても今年3月のFOMC)、市場の見方がFOMCの見方に収れんする過程で株式に金融引き締め的な動きを与える可能性が高いことを示唆しています。つまり、あまりに楽観的な見方で現在の米国株は支えられているということになります。

この楽観はFF金利先物市場でも判ります。

3月限のFF金利先物がこのところ37.5bpsで横ばいですが、6月限FF金利先物の予想利回りは45bpsに上昇しました。

つまり、FOMCの見方には程遠いですが、6月までにあと25bps程度利上げすると見ている人が増えてきたという事です。

一方、12月限のFF金利先物は先週半ばまで金利が低下しましたが、先週金曜の雇用統計で一気に上昇して、週間ではフラット程度になりました。

先週末の雇用統計を受けて、来週以降は6月限~12月限のFF金利先物が上昇して行くでしょうから、これに連れて米国債は下落し、多少のタイムラグはあるでしょうが、米国株もリスクオフ的な動きに拍車がかかるでしょう。

従って、今週の相場見通しを作成するための前提も先週と同様に、「昨今の株安を受けてFOMCメンバーはハト派的なトーンに変わったものの、マーケットはそれ以上に非現実的なくらいのハト派になってしまったので、マーケット正常化の過程では、楽観的な市場見通しがFOMCの見方に収れんする」という見方をしたいと思います。

常にFOMCより先走ってハト派的な見方になっているマーケットの見方は、過度に楽観的で3月FOMC時に公表されるドットチャートが出るまでに引き締めサイドに収れんするという見方は変わっていません。

なお、私の利上げ予想は先週と同様です。
次回利上げ時期:3月(2割)、4月(5割)、6月(3割)
来年利上げ回数:3回
来年末FFレート0.75%~1.0%

初回利上げをしたばかりでいきなり襲ってきた株安で、タカ派のメンバーも見方も大きく修正せざるを得なくなったと判断しています。

元々私の見方はハト派的になったとはいえ、FOMCメンバーのトーンを忠実に咀嚼したうえで予想しているので、雇用統計を受けてもあまり変わりません。

このところ、1月の下げがきつくFOMCメンバーの心証が大きく変わったため、今年前半のマーケットが「マネー逆流の恐怖でリスクオフになる」というシナリオの確度はかなり低下したと思われますとこちらで書いていました。

しかし、のど元過ぎれば熱さ忘れるではないですが、下げのペースが弱まった先週に入り、タカ派は依然として早く利上げをしたかったという本音が出てきました。

加えて、タカ派でなくても早期利上げをしないと危険かもしれないという賃金上昇の結果が判明した以上、FOMCメンバーの心証が再度タカ派的に傾く可能性が高くなりました。

従って、今来週の要人発言は早期利上げの必要性を感じさせる雇用統計を受けて、FOMCメンバーの見方に変化があるかどうかを見る上で非常に重要です。

仮にハト派的な見解のままでも、現在のマーケットがあまりにも楽観的過ぎるので、2カ月程度でFOMCの見方に収れんするリスクが高いですが、タカ派的な見解に変わったと思わせた場合は、FOMCの見方への収れんが一気に進むリスクが高まります。

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元ヘッジファンドE氏の投資情報』(2016年2月8日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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