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【号外】日経平均918円安。1月に並んで「売られ過ぎ」との見解変えず=馬渕治好

このように、悪材料が新興国から先進国に移ってきた感がありますが、これは見方を変えれば、一時の全世界的なリスク回避的な様相が薄らいできている、と前向きに解釈することも可能だと考えます。

なお、日本株の下落率(前場終値で、日経平均は前日比4.92%、TOPIXは5.03%下落)が、米国株の下落率(たとえばニューヨークダウ工業株指数は1.10%の下落)と比べ突出していますが、これは特に日本株が、(いつものことですが)世界のどの国のどんな不安材料に対しても最も過敏に反応することが多い、という点と、米ドル安・円高が日本株の悪材料として大きく働いている点があります。

米ドル安の背景は、日銀のマイナス金利導入で米ドル買い・円売りを入れた向きが、最近の市況反転で投げていることがあると考えられ、そうした米ドルの投げ売りは、短期的に一巡すると見込みます。

また、実態面では、米国株の下落や、米国経済に対する疑念が、米ドルの売り材料となっています。ただ、これは2/7(日)付の当メールマガジンでも述べたように、米経済がリセッション入りするという観測は、2/5(金)に発表された雇用統計などを見る限り、行き過ぎた懸念です。ましてや、米連銀が今後利下げを行なうわけでもないでしょうから、米ドルもいずれ対円で底入れ反転すると予想します。

なお、日本を含む先進諸国の政府・中央銀行の為替相場に対する姿勢は、為替相場は市場に任せる、というものです。特に、ある水準が高過ぎる、あるいは安過ぎる、として為替市場に介入することは、基本的に先進国間では容認されません。この点で、たとえば日本政府や日銀が、115円割れの円高という水準自体が問題だ、として何かの行動を起こすことは難しいです。

ただ、一方で、各先進国共、「為替相場の過度の変動は好ましくない」という見解は一致しています(自国通貨高であれ、自国通貨安であれ)。これは、為替相場の方向や水準は別としても、為替相場が短期的に大きくぶれると、経済活動や市場動向に悪影響を生じかねないためです。

月初2/1(月)に121円台にあった米ドル円相場が、本日2/9(火)に115円を割れている、というのは、営業日5日強で6円以上の値幅ですから、誰がどう見ても「過度の変動」でしょう。

とすれば、「過度の変動に対処する」という意味合いで、まず日銀がレートチェック(為替を取引する銀行に電話取材し、それとなく足元の為替変動を好ましく見ていない旨を示してけん制する)を行なう、あるいは財務相や日銀幹部が、為替の急激な動きをけん制する発言をする、といったことはあってもおかしくありません。

【関連】「羽があったら空を飛べたのに」公的年金(GPIF)の幼稚すぎる言い訳=近藤駿介

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年2月9日号外)より
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