グローバリゼーションの終焉期
これから中国が、報復処置として米国債の大量売りを実施するのかどうかは分からない。また「CLO」の破綻が金融危機の引き金に実際になるのかどうかも分からない。
しかしここで非常に重要なことは、さまざまな変化がありながらも、まがりなりにも戦後74年間、世界経済のシステムを安定的に維持してきた自由貿易の基本原則に基づく秩序が、目の前でバラバラになりつつあるという事実だ。
トランプ政権の仕掛けた米中貿易戦争など保護貿易のため、あらゆる産業領域でグローバル経済拡大の前提であったサプライチェーンはズタズタに引き裂かれ、生産拠点の大規模な移動も起こっている。
また、シリアやイラン、そしてベネズエラをめぐるロシアとアメリカの対立は水面下で厳しさを増し、最終的には将来のいずれかの時点で武力衝突さえ懸念される状況にもなりつつある。
また、日韓の対立も最終的な落としどころがまったく見えない、予想を越えた敵対関係に陥ろうとしている。その経済的な余波は大きいはずだ。そしていま香港で収まる気配のない抗議運動は、中国本土に拡大する可能性も否定できない状況になっている。
いまはアメリカ経済の好調さに支えられ、グローバル経済が崩壊過程にある事実は見えにくくなっているが、米中貿易戦争やトランプ政権の予想できない外交政策などが継続すると、比較的に近い将来、大きな危機が発生し、世界経済は自己崩壊に向かうことは避けられないように思う。アメリカのニューエイジ系の著名な社会評論家、ジョン・ホーグは「大きな目を見開いたまま、危機へと見ずから突入するはずだ」と述べているが、いままさに我々は危機へと向かってまっしぐらに向かっている状況にある。
いま、多くの読者も気づいていると思うが、変化のスピードがあまりに速い。朝起きると大きな事件が起きており、これまでのグローバルな世界秩序の一端がほころび始めているのがはっきり見えてくることも多い。2016年のブレグジットはまさにそうした出来事だった。
そのようなグローバルな秩序が崩壊する先のまったく見えない状況では、中国の米国債大量売りによる「CLO」の破綻と、それが引き起こす金融危機といういまは予想を越えた事態は、考慮しておかなければならないシナリオのひとつであることは間違いない。危機はいつも突発的に発生する。考えられないことを考え、想像できないことを想像するのが危機に対処する唯一の方法だ。
おそらく2020年になると、危機へと向かうスピードは一層激しくなるに違いない。東京オリンピックの開催さえ、危ぶまれる状況になるかもしれない。
このような危機的な状況に向けて、我々はそろそろ準備しなければならないはずだ。このメルマガでは、全力で情報を集め、どうしたら有効な準備が可能なのか検討するつもりだ。
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- 日韓対立で日本は勝てるのか?ボリス・ジョンソンのイギリス、パーカーの最新予言(8/2)
※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2019年8月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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※太字はMONEY VOICE編集部による
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