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中国の反撃「米国債大量売り」発動か。グローバル化の終焉で2020年代の世界大恐慌へ=高島康司

日本が最大の保有者

こうした「CLO」だが、いま全世界での残高は113兆4000億円にも上っている。これは、2008年のサブプライムローン証券を上回る額だ。日本の国家予算が100兆円弱なので、これよりも高い。

そして、「CLO」で注目すべきは、日本が最大の投資者であるということだ。3分の1を購入している。

「農林中金」をはじめ、「ゆうちょ」や大手の都市銀行が買っている。最上位の「シニア債」に限ると、日本の購入している割合は、65%から70%にも達しているのではないかと見られている。

日本の投資は「CLO」という金融商品が成り立つための、重要な柱のひとつだ。

米国債大量売りが引き起こす金利上昇の影響

さて、もしこのような状況で中国による米国債の一斉売りから長期金利が上昇するようなことがあると、どのようなことが起こるのだろうか?

実は答えは明白である。金利の上昇から、ローンの支払いに困る企業が出てくるということだ。特にこれは、経営基盤の弱い「メザニン債」や「劣後債」の生成元になっている企業に集中するだろう。

金利の上昇からローンの支払いが困難になり、それが原因で金融商品が破綻するのは、2007年から2008年のサブプライムローンと同じである。証券化されたサブプライムローンは、他のローン証券と一緒に「CDO」という金融商品に組み入れられた。「CDO」は人気の金融商品として、特に銀行を中心によく売れた。そして、サブプライムローンの破綻は「CDO」全体の破綻につながり、金融危機の引き金になった。

米国債の下落による金利の高騰は、これと同じことを「CLO」に引き起こし兼ねないということだ。

すぐに破綻するわけではない

「CLO」に内在するこのような潜在的な危険性は、昨年からジャネット・イエレン元連銀総裁、大統領候補のエリザベス・ウォーレン上院議員など、多方面の人々が警告している。最近でも「CLO」の破綻を懸念する記事は多い。もちろんこの警告は「CLO」だけではなく、レバレッジド・ローン全体に向けられている。

しかし、2007年から2008年のサブプライムローンのように、「CLO」が金融危機の引き金になる可能性は低いとする見方も多い。07年や08年のサブプライムローンとはまったく異なり、「CLO」の危険性は金融当局によって十分に把握され、監視対象になっている。

今年の春から日本の金融庁も金融機関の「CLO」の保有状況を調査し、最上位の「シニア債」で、なおかつ発行元が5%以上を保有しているもの、つまり発行元が投資対象にするくらいリスクの低い「CLO」にだけ投資をするように規制している。

このように、「CLO」の保有状況は各国の金融当局によって厳重に監視されているため、もし金利の急騰による破綻の兆候がちょっとでも現れるなら、「CLO」の販売停止、また中央銀行による金融機関からの買い取りなどの方法で、危機が拡散しないような予防処置を講じることもできるかもしれない。これはサブプライムローン破綻のときとは大きな違いだ。

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