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米景気に陰り、ドルの弱体化、中国の台頭…それでもアメリカの時代は終わらないワケ=山崎和邦

アメリカ衰退論の経緯

1898年に起きて短期間に終わった米西戦争でアメリカは衰退しつつあったスペインからキューバ・プエルトリコ・フィリッピンを植民地として取り上げた。しかし、アメリカが帝国主義的に振る舞った期間は短かった。

大きな変化は第1次大戦への参戦だった。そうすると「アメリカの世紀」の始まりは1914年からである。

しかし、アメリカは1930年代になると極端な孤立状態に陥った。

しがって、アメリカの世紀がいつから始まったかを正確に示すならば、第1次大戦への参戦ではなくフランクリン・ルーズベルト大統領による第2次世界大戦への参戦であろう。

もし日本がアメリカとではなく中国と同盟関係を結んだ場合は、この2カ国の経済がアメリカを凌ぐであろう。現に2006年以降、中国は日本の最大貿易国となっている。報償権力は解決される。やがて軍事力も中国がアメリカをキャッチアップするであろう。

では、ソフトパワーで同盟できるか?…できないであろう。これが国際間の最大の結合力である。レーガンが出て20年間の「Death of Equities株は死んだ状態」から覚醒させ「アメリカよ、どこへ行く」と言われた老衰大国を覚醒させて活性化したのも同時代に英国にサッチャー首相が出現し、新自由主義で同盟したからであった。つまりソフトパワーでの同盟であった。

今、ソフトパワーのことを考慮に入れると、日中同盟に進む可能性は極めて薄い。先ずは絶対と言ってよい確率でないであろう。小平が「政治的には冷えていても経済は熱く」(「政冷経熱」)と説いた時代は、中国が未だ貧しく報償権力のパワーその物が未達成だった時代の指導理念だった。今は違う。

1950年代から60年代前半までは、ソ連がアメリカを追い越して世界を主導する国になるだろうと思われた。迂闊にも学生時代の筆者もそう思った。

原油と天然ガスでサウジアラビアを上回っていたソ連は、世界全体の概ね半ばの核兵器を保有しアメリカより多くの兵員を擁し、プロパガンダは巧妙だった。

ニキータ.フルシチョフは1970年もしくは80年までにソ連はアメリカを抜くと公言していたことは有名な事実だった。(キューバ事件は1962年)。

ところが1991年、ソ連が主として内部要因によって崩壊してからアメリカが唯一の超大国になり、これを「一極支配」と呼ぶようになった。従って91年が「アメリカの世紀」となった正確な年代と言える。この時、アメリカの海軍規模は2位以下の17カ国の合計と同じ規模になった。アメリカは空軍でも制空権を持ち、宇宙とサイバー空間でもリードした。

Next: アメリカはいつまで世界のトップであり続ける?

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