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サイバー・バズは事業を成長させるため、クライアントではなく消費者目線になれるか

体験の構築

用事が特定できたら、次になすべきことは、顧客がなし遂げようとしている進歩に伴う体験を構築することです。製品・サービスの購入時や使用時におけるすぐれた体験が、顧客がどの製品やサービスを選ぶかの基準になるからです。では、同社はどのような体験を構築すればいいのでしょうか。

一般消費者が広告を雇うとする際に障害となり得るのは、いわゆる「やらせ」です。特にソーシャルメディアではそうした傾向がみられます。また、素人らしさに共感したインフルエンサーがスキルを磨いて「プロ」になることも、広告を雇うとする一般消費者にとっては障害となり得ます。

いずれにしても、こうした障害が取り除かれれば、一般消費者は「自分と同じ境遇にある人に共感する」「前に進む」という、いずれもすぐれた体験ができるようになるでしょう。

プロセスの統合

最後は、顧客がなし遂げようとしている進歩のまわりに社内プロセスを統合し、顧客に対して彼らが求める体験を提供します。そうすることにより、プロセスは摸倣が困難になり競争優位をもたらすのです。

社内プロセスの統合という意味で同社グループの課題となるのは、「クライアントのニーズを満たすインフルエンサーの発掘・拡充・育成」ではなく「一般消費者の共感が得られる、つらい身の上にある(あった)人の発掘」です。拡充や育成は、逆効果になるので必要ありません。もちろん、やらせを疑われてはいけません。

では、同社グループはこういった人材を発掘するのであれば、業績の評価基準をどうすればいいのでしょうか。クリステンセン教授たちは次のように指摘しています。

ジョブ理論は、プロセスを何に合わせて最適化するのを変えるだけでなく、成功の尺度も変える。業績の評価基準を、内部の財務実績から、外部的に重要な顧客ベネフィットの測定基準へと移す。

顧客の行動について集めたデータは、客観的に見えてもじつは偏っていることが多い。データはとくに、ビッグ・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを買うとき)だけを重視し、リトル・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを実際に使うとき)を無視している。ビッグ・ハイアが、顧客のジョブをプロダクトが解決したことを意味する場合もあるが、本当に解決したかどうかは、リトル・ハイアが一貫して繰り返されることによってしか確認できない。

この指摘を踏まえるのであれば、同社グループはリトル・ハイア──広告が見られた回数──を業績の評価基準とするのが得策だということになります。

【参考文献】

・クレイトン・M・クリステンセン他[著]、依田光江[訳]『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(ハーパーコリンズ・ジャパン)
・クレイトン M.クリステンセン『C.クリステンセン経営論』(ダイヤモンド社)
・クレイトン・M・クリステンセン『医療イノベーションの本質─破壊的創造の処方箋』 (碩学舎ビジネス双書)
・有価証券届出書(新規公開時)


本記事は『イノベーションの理論でみる業界の変化』2019年10月2日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、バックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

image by: Cristian Dina / Shutterstock.com

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イノベーションの理論でみる業界の変化』(2019年10月2日号)より一部抜粋

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イノベーションの理論でみる業界の変化

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クリステンセン教授たちが練り上げた「片づけるべき用事」の理論は、これまで不可能とされてきたイノベーションの予測を可能にし、その効果はアマゾンのベゾスらによっても確認されているといいます。3年目になる2018年からは内容を刷新し、従来のMBAツールとは一線を画すこの優れた理論を使い、各業界におけるイノベーションの可能性を探ります。これはイノベーションを生み出すための「思考実験」にもなります。なお各号はそれぞれ単独で完結(モジュール化)しているので、関心がある業界(企業)を取り上げた号を購読していただけます。

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