ドラギ「望むだけマイナス幅を拡大できるのか。答えはノーだ」の意味
これはいかなるマイナス金利も有益であることを意味するのか。銀行システムに何ら影響を及ぼすことなく、望むだけマイナス幅を拡大できるのか。答えは「ノー」だ。おそらくご存知の通り、われわれは階層構造の導入、こうしたすべてのオペレーションからの免除システムについて協議してきたが、最終的に理事会はそうしないことを決めた。制限なく金利のマイナス幅を拡大できると示唆したくなかったからだ。理事会はこの手段が引き起こす複雑な問題について認識を高めている。
マイナス金利には銀行システムへの悪い影響があることを協調したいようです。
日銀が導入したような階層構造を導入することは、銀行システムへの影響を限定する良い役割がありますが、その安心感があることが、かえってマイナス金利拡大の歯止めをなくしてしまうとして問題視しているようです。
階層構造での保護とマイナス金利の拡大は、相反するところがあるのでなるほどと思うところはあります。
階層構造で銀行への直接的な保護をするよりも、マイナス金利拡大による相場への心理的な悪影響の方を重視したということでしょう。
初めて導入した日本の初期段階と、マイナス金利をすでに導入してきた欧州では、事情が異なるところもあるのでどちらが正しいとも言えないです。
ハッキリとマイナス金利の拡大を示唆したくなかったと言っていますが、制限はあっても余地は残しておくべきだったのではないでしょうか。
マイナス金利を発表する記者会見で、わざわざそれを否定するようなことを強調するなんて配慮にかける言い方だったと思います。
市場にとってはとても印象の悪い内容だったかもしれませんが、個人的には、やはりそんなに気にはしていません。
なぜなら制限はどこかにあるとしても、さらなる下げ余地がないと言っているわけではないからです。やりたくなくても、状況が悪くなればやるしかなくなるのではないでしょうか。
ただし日欧ともに、金融政策の余地が少なくなっているという方向性はあると思いますので、投資戦略としてはその辺を意識したいところです。今年後半から、翌年にかけては特にその辺りを重視してみようかと思います。