来年4月の実施が延期された英語民間試験をはじめ、大学入試において採点業務を落札した「ベネッセ」の優位性が問題になっています。まさに独占状態です。(『三宅雪子の「こわいものしらず」』)
※本記事は有料メルマガ『三宅雪子の「こわいものしらず」』2019年11月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
元衆議院議員。玉川学園女子短大、共立女子大学を卒業。テレビ局勤務を経て、2009年群馬4区で民主党から立候補し、比例復活当選。現在は、執筆やネット配信、福祉や介護のアドバイザーなどをしながら政治活動を行っている。
英語民間試験は混乱の末「延期」へ。政権と企業の距離は適切か?
ベネッセの独占状態
ベネッセといえば、教育に深く関わるビジネスをしている企業です。
現在、全国の高校に模試や教材を販売しています。
こうした企業が大学入試試験の採点業務に手をあげ、落札しても、そのこと自体は責められないでしょう。
「新テスト」記述式問題採点をベネッセグループが落札
8月30日、大学入試改革「新テスト」の記述式問題の採点業務をベネッセが落札したというニュースが話題になった。誰もが予想していたことであり、驚きはしないのだが、こうなることが半ばわかっていたからこそ「本当にこのまま改革を進めていいのか」と疑問の声が以前からあったのだ。落札額は約61億6000万円と報道されている。
その額が多いとみるか少ないとみるかはわからないが、問題はそこではない。これで、記述式問題の採点、英語民間試験の実質的に数少ない選択肢の1つであるGTEC、今後大きな話題になるであろうeポートフォリオという、大学入試改革の目玉のすべてにベネッセが大きく関わることになる。大学入試改革受託業者と呼んでも過言ではない。
出典:日本経済新聞(2019年8月31日朝刊)
しかし、現場の先生方は、採点業務を落札したベネッセの模試や教材を導入しないと生徒にデミリットがあるのではないかと、どうしても考えますよね。
結果的に学校はベネッセの模試や教材を選択することになり、ベネッセ独占状態になるんですね。
特権的立場ではありますが、法的規制はありません。
模試や教材を扱っている企業の採点業務入札参加を排除する、という選択肢はあったかもしれません。
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