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香港人権法成立でも米中関係は悪化せず? 2020年、世界景気に追い風が吹く=近藤駿介

株高を維持できるかは12月次第

11月まではヘッジファンドの解約に基づく買い戻しなど需給要因が株価の追い風となった。そして、年明けからは年金資金を中心としたポートフォリオ運用をする投資家によるインデックス需要が期待されるため、株式市場が堅調さを維持できるかは12月次第といえる状況である。

12月の株式市場に波乱を起こすとしたら、その要因となりそうなのは長期金利米中貿易交渉の行方である。

「予防的利下げ」に終止符を打ったFRBはバランスシート再拡大に踏み出したが、FRBはあくまでこれは短期金融市場の混乱を抑えるためのテクニカルな措置であり金融緩和政策ではないという立場をとっている。TB(短期国債)を使ったバランスシート再拡大政策はこれまでのQEと異なりFRBが長期金利の低下に直接働きかけるものではなく、長期金利には上昇圧力が掛かりやすくなっている。

ここに来て世界的に景気悪化に歯止めがかかり始めている兆候があるうえ、金融政策が限界に来ている欧州が財政政策に向かう可能性が高くなってくるなど、まだ先のこととはいえ政策的な変化によって今後は長期金利に上昇圧力が掛かりやすくなることが想像される。

また、12月は金融機関の決算期にもあたりドル需要が強まる時期でもある。こうした季節要因も加わってか、為替市場ではFRBがバランスシート再拡大政策を採用してからもドル指数は高止まりしている。幸い経済指標が堅調さを見せる中でもインフレは依然として目標水準を下回っており長期金利上昇を招くには至っていない。

長期金利上昇の火種は出始めているものの、暫くの間長期金利上昇の危険性が高くないとしたら、市場の波乱要因となるのは米中貿易交渉の動向ということになる。

米中貿易交渉が市場の命運を握る

大統領選挙は、2020年2月3日のアイオワ州党員集会でスタートする。

アイオワ州がスイングステートといわれトランプ大統領誕生の原動力となったラストベルトの一角でもあることを考えれば、トランプ大統領はアイオワ州の党員集会までは米中貿易交渉での成果をアピールし株価を高く保っておきたいはずである。

こうしたことを考えると、中国とのネゴシエーションなしに「香港人権・民主主義法案」に署名したとは考えにくい

記者会見で米国への報復措置を明言した中国外務省の報道官が、「いつ・どのような報復するのか」という記者からの問いに約5秒間沈黙したのも、中国側が有効な報復手段を持っていないことを露呈するとともに、米国側と何かしらのディールがなされていることを感じさせるものでもある。

Next: 米中貿易協議「部分合意」は近い? 考えられる今後のシナリオとは

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