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トランプ大統領は案外対処しやすい相手?中国サイドからみた米中通商会議の現状とは=田代尚機

意図的にバブル発生を抑え、経済成長の質を高める段階

日本のマスコミ報道の中には、中国は景気減速によって、雇用が圧迫されているとか、人民の不満が高まっているかのような内容も見受けられるが、少なくとも、当局や、本土のエコノミストたちの見方は、それとは大きく異なる。簡潔に言ってしまえば、“低い成長率だが、適切な成長率の範囲内にある。現在は経済発展の質を高めたり、貧富の差を縮めたりすることが重要である。バブルを発生させてはならない。金融のシステマティックリスクを防がなければならない…”。高い成長率を保つことは重要ではない。

国際要因では13日、好材料があった。

トランプ大統領はこの日、ツイッターを通じて、第一段階の合意に達したことを発表。通商代表部は、12月15日に発動を予定していたスマホ、ノートパソコンなど、これまで追加関税をかけてこなかったほとんどの製品に当たる1,600億ドル相当の中国からの輸入品に対する15%の追加関税措置の発動を見送ると発表した。

また、9月1日から実施されている、スマートウォッチ、ビデオゲーム用機器、玩具など1,200億ドル相当の輸入品に対する追加関税措置について、これまでの税率は15%であったが、7.5%に引き下げると発表した。

中国側も13日深夜、米中第一段階経貿協議声明を発表しており、第一段階の協議は合意に達したと伝えている。協議書は、序文、知的財産権、技術移転、食品・農産品、金融サービス、為替レートとその透明性、貿易の拡大、双方による評価と紛争解決、最終条款からなり、「アメリカは、段階的な追加関税措置の取り消しを承諾、追加関税率は引き上げから引き下げへと変更された」などと伝えている。

さらに、この協議は、「中国の改革開放政策を深化させるといった大きな方向性、自ら質の高い経済発展を推し進めるといった内在的な必要性と合致している」としており、外圧を通じて構造改革が進むといった効果があることも示している。

日本の報道をみていると、「米中貿易戦争が終わったわけではなく、単なる休戦であり、第2段階では、制裁関税措置の撤廃、農産物の購入規模などを巡って対立は続く」といった見方が多い。

この貿易戦争を仕掛けているのはトランプ大統領である。

トランプ大統領が関心を持つのは、有権者に対するアピールである。中国側によるアメリカからの農産品の輸入制限は票田である農民層に大きなダメージを与える。懲罰的な追加関税措置の実施は、増税分の消費者への転嫁を通じて、彼らにダメージを与える。トランプ大統領の中国人権問題に対する関心は低い。また、対中強硬派とは異なり、ビジネス重視の立場を取り、中国の台頭を感情的に受け入れられないということもない。中国にとって、トランプ大統領は案外、対処し易い相手である。

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image by : phol_66 / Shutterstock.com

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中国株投資レッスン』(2019年12月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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