<有事の金>
昔から株式市場はじめ資本市場でリスクが顕在化した場合には投資マネーはより安全なものへと逃避します。その逃げ場の行き着く先とされるのが実物資産の金(ゴールド)です。
この金(ゴールド)には安全資産と呼ばれる代わりに金利もつかないため、債券<REIT<株式のようにリスク選好の動きの中では投資価値は見劣りしてしまいます。実際のマーケットにおいても、株式市場が下落すると逆相関で金先物価格が上昇し、株式市場が再び上昇し始めると金先物価格には下落圧力がかかりやすくなります。
ただし、もう一つ重要なこととして、この金(ゴールド)には通貨的な側面と商品的な側面の二面性があり、景気が過熱することによってインフレ(お金の価値が下がり、モノの価値が上がる)となる場合には、株式同様に上昇することとなります。日本はデフレだから、金投資は金利がつかないから、と言って甘くみることはできません。
いつの日かお金や株式をはじめとする有価証券、いわばペーパー資産ではなく、実物資産こそ本当の価値がある、とされる日が来るやもしれませんので、時々にでもチェックしておくに越したことはないでしょう。
<ハイ・イールド債(高利回り社債)>
数ある金融商品と呼ばれるものの中で株式はリスクが高いとされていますが、それ以上にリスク性の高い投資対象をご存知でしょうか?それがこのハイ・イールド債、別名:ジャンクボンドと呼ばれる社債です。
これは取引所における一定の審査基準を満たして上場している企業が資金調達の手段として株式を発行しているのに対し、一般的な銀行融資も受けられないような企業が資金調達する手段として発行する社債のことです。
企業自体の信用度が低いために当然ながら高い金利が設定されますので、例えば日本のように先進国債券がマイナス金利となっている現状においては、カネ余りの中で利回りを求める投資家にとって重要な投資対象の一つになっています。
しかし、市場が何らかの危険を察知してリスクに敏感になった場合、真っ先に売られるのがこのジャンクボンドであり、反対にリスクを積極的に選好する場合に急騰するのもまたこのジャンクボンドです。現在はこのジャンクボンドが今年の6月、そして9月それぞれの高値を上回り年初来高値の水準に達しています。
あれもこれもと全てを絶えず監視するのは大変だと思いますので、最低限チェックするリスク指標としてこのジャンクボンドの動きをみながら投資機会を捉えていくのが最善策かと思います。
最後までお読みいただきまして感謝の念に堪えません。
今、日経平均株価は今年の年初来高値水準に位置し、1990年のバブル後最高値まであと一歩のところまで回復してきています。残りわずかとなった2019年、そして節目となる2020年の相場においても、攻めと守りの両方の視点からメリハリの効いた投資スタンスを持って億越えの資産形成を実現していきたいですね。
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『億の近道』(2019年12月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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