いつかくる暴落を待つのはギャンブル的な要素
“暴落の時こそ株を買うチャンス”なのは頭で理解はしていても、いざ実践となると自分のリスク許容度が分かっていない限り難しいものです。
しかもそんなチャンスは10年に一度と言われますから、それを今か今かと待ち続けるのは例えばベア型のETFである日経ダブルインバース<1357>を買っている方や日経レバ<1570>を空売りしている方は身に染みてお分かりいただけることでしょう。
いつか起こる危機に賭けるのも一つの手法ではありますが、やはり投資はできるだけギャンブル的な要素を排除すべきものですし、要所での判断する余地があるところが醍醐味でもあると思います。
そこで、こうしたリスクへの備えとして主だった“リスク指標”さえおさえておけば、守りを固めることができ、それによって積極的な攻めに打って出ることも可能になってくる手。
“攻めは最大の防御”ではなく“守りこそが最強の攻め”につながってくるわけですね。
これは『孫氏の兵法』でいうところの「勝つべからざるは守るなり、勝つべきは攻むるなり」(勝てそうもないなら守るべき、勝てるなら攻めるべき)を地で行く投資戦略なのです。
今重視しておきたいリスク指標あれこれ
<騰落レシオ>
株式市場でまず代表的なものと言えば、テクニカル分析で相場の過熱感を測る「騰落レシオ」ですね。
これは市場の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の比率から、市場での“買われすぎ”、“売られすぎ”等の状態や、市場参加者の過熱感(強気、弱気)を見る指標とされています。
100ポイントを大きく上回った場合は買われすぎ、もしくは強気であることを示し、反対に100ポイントを大きく下回った場合は売られすぎ、つまり弱気であることを示していることが判断基準となります。統計・確率論を投資判断に応用したという意味では、他の「ボリンジャーバンド」や「RSI」なんかのテクニカル指標と似ているかもしれません。
<空売り比率>
これも一時期から話題になることが増えましたが、「空売り比率」は東証が発表している1日の売り注文全体に対して、信用売り(空売り)の割合がどれくらいあるかを見る指標です。
ただし、ヘッジファンドなどがシステマティックにミリ秒単位でHFT(高頻度)取引が行われる現状では空売りされたまま、買い戻されていない売り建ての累計結果を知ったところで、一つの目安となることはあっても暴落を予知するという点ではそれほど重要ではないと言えるでしょう。