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「東京五輪後に不動産バブル崩壊」は大嘘? 2020年の市場動向をプロが大予測=姫野秀喜

2つの理由でバブル崩壊は起こらない

1つ目の理由は、土地バブルはオリンピック開催地以外の場所で起こっているということ。

2つ目の理由は、そもそも日本全体のほとんどの地域では地価は上がっていない(すなわちそもそもバブってない)ということです。

<東京オリンピックは地価上昇と無関係>

1つ目の理由ですが、土地バブルは東京では起こっていません。確かに東京の中心部にあるレジデンスや商業ビルを5億、10億といった現金で買い付けてくる外資系資本も存在しますが、その範囲はかなり限定的です。23区内でも中心部分だけで、それ以外の区はとくに盛り上がっているわけではありません。

実は、土地バブルを引き起こしているのは、北海道沖縄大阪です(図表①参照)。

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特に北海道の倶知安町(くっちゃんちょう)については、前年比で地価変動率が57.7%とバブル時代の3大都市圏(東名阪)を超える高水準となっています。この倶知安町については、確かにバブルの側面はありますが、町を挙げてインバウンド誘致や様々な政策をとっており、その努力が実を結んだと必然とも言えます。

沖縄大阪でも20%を超える地価上昇がみられますので、一部地域ではバブルが起きているといえなくもありません。

しかし、東京オリンピックのおひざ元である台東区はギリギリ10位になる程度しか地価上昇していません。地価が著しく上昇しているエリアを見ていくと、東京オリンピックは直接的に関係ないということが言えるのです。

地方でバブルが起きているのは、観光地としての魅力を高めている状況に人々が我先に乗ろうとしている結果だからです。言い換えると、オリンピックに対し流入している資金とは別の流れということです。

地方のバブルに乗っかっている人たちは、オリンピックには関係なしに、今からバブル崩壊に備えてください。誰もが良いと思うから自分も良いと思うという誤謬に基づく判断が経済を形作るバブル現象は、典型的なケインズの美人投票です。

実力に裏打ちされた価格上昇ではないため、いずれ崩壊するのは明らかです。

そうならないためには、現在バブって急ピッチに過剰設備投資を行っている観光地は、そのファンダメンタルズ(基礎的な力)を高める必要があります。具体的にはアジア諸国の中で、沖縄や北海道という観光地のブランドを確立することです。

今後もアジア諸国や中国の所得が上がることで、海外旅行をする人口が増え続けるわけですから、日本はその人々を魅了し続けるために実力を高めていかなくてはならないのです。

これはオリンピックや万博など一時的なモノではなく、不断の努力によらなくてはなりません。そういう視点で見ると、横浜のIR構想は日本の観光力を一段底上げする有益な政策といえるでしょう(カジノがあれば富裕層が来るという短絡的なものではないと思いますけどね…)。

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