<そもそも日本にバブルは来ていない>
2つ目の理由ですが、そもそも日本は別にバブっていません。バブっていないのですから、崩壊するものがありません。
国土交通省の地価公示によれば、2019年の地価は上昇しています(図表②参照)。
全用途平均で見ると、全国で地価は前年比1.2%上昇しています。東名阪の3大都市圏だけで見ると2%、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は5.9%も上昇しています。
この数値だけ見ると確かに地価は若干の上昇傾向にあることがわかりますが、バブルというにはさすがに上昇率が低すぎるのです。
以下の図表③は、1976年から2019年までの地価変動推移をグラフ化したものです。
これを見ると一目瞭然ですが、1987年前後の地価上昇率は突出しています。これがバブルです。
これに比較すれば、2007年前後のITバブルの時期でも大したことない上昇率だったことがわかります。いわんや2019年の地価上昇をやです。
つまり、オリンピックバブルなどほとんど存在していないということなのです。さらにバブルでないのは各都道府県の地価変動率を見ていくとより明確になります。
以下の図表④は、都道府県別の地価変動率です。
これを見ると47都道府県のうち、かろうじてプラスが15都府県であり、残りの32道県はマイナスであることがわかります。
沖縄や東京はプラス幅がそれなりに大きいものの、全国1位の上昇率となった倶知安町を有する北海道は小幅ながらマイナスです。
これらのことから、現状のオリンピックバブルなどはそもそも(一部以外)存在しないわけで、存在しないものの崩壊を恐れるのは、杞憂というわけです。
そもそもかつての土地バブルの反省をもとに様々な政策、税制などが整備されているため、現在の日本で土地価格の極端な乱高下は起きず、ソフトに上昇・下降をするはずなのです。
ということで、2020年にオリンピックが終わったとしても、日本の国土の99%には影響がでないのです。