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「トランプの独断」は嘘? 日本では報道されないイラン情勢の真実と次なる標的=高島康司

気まぐれなトランプの独断

もしこうした情報が事実であるなら、これは日本や欧米の報道を確証することにもなる。

それらの報道では、今回のソレイマニ司令官の殺害は、側近や国防総省の強い反対を押し切って、トランプが独断で決定したとされている。経緯をまったく知らないトランプの気まぐれの決定だったことになる。

ブッシュとオバマ政権の過去20年間、ソレイマニ司令官の殺害計画は存在していた。しかし、どの政権もソレイマニ殺害が引き起こす報復の連鎖と、それによって中東が制御不能な混乱に陥ることを恐れ、殺害が断念された人物である。

またオバマ政権からは、「国民動員隊(PMF)」などソレイマニ司令官の指揮下にあるシーア派系武装民兵組織はイラクから「IS」を掃討する作戦では非常に大きな力を発揮し、やはり「IS」の掃討を行っているアメリカを中心とした有志連合とは共闘する関係にあった。アメリカから見てソレイマニ司令官は、明白な敵とは言い難い存在であった。これもソレイマニ司令官の殺害が実行されない理由のひとつだった。

しかし、気まぐれで即物的に反応するトランプは、こうした背景をすべて無視し、殺害の影響を一切考慮することなく実行してまった。要するに今回の殺害は、トランプが周囲の反対を押し切って実行した気まぐれの決断だった、という報道だ。

事前に存在していた計画

しかし、最初の出来事が起こる20日近く前の昨年の12月9日、イランとの戦争が近いとする情報が方々からあった。

そのひとつは、イギリスの元外交官で、いまは中東専門の調査ジャーナリストとして活躍しているアラスティア・クルックの記事である。

それによると、昨年の11月末に米国防総省の高官がイスラエルを訪れ、「アメリカーイスラエル安全保障条約」の締結に向けて、合意したとのことだった。この条約は以前から提案されていたものの、アメリカとイスラエルの両国で、双方の戦争に巻き込まれる可能性が高いとして反対意見が多かったものだ。

だが今回は、ある条件を加えることで安全保障条約の締結が合意されたという。

その条件とは、安全保障条約の適用範囲をイランに限定するというものだ。つまり、イスラエルかアメリカのどちらかがイランの攻撃を受けた場合、一方の国もイラン攻撃に共同で対処するということだ。

こうした内容の「アメリカーイスラエル安全保障条約」の締結に向けて動き出したことは、ロイターなどの主要メディアの報道でも確認できる。そして、昨年の12月4日から5日にかけてポンペオ国務長官はポルトガルの首都、リスボンでネタニヤフ首相と会談を行い、「アメリカーイスラエル安全保障条約」の締結を目指することで合意したという。

アラスティア・クルックの記事では、ネタニヤフ首相の側近の1人が「これはイランを攻撃する絶好の機会となる」と発言したことを紹介し、半年以内にイランとの戦争が始まる可能性が非常に高いとして、注意を喚起した。

Next: 失敗した政権転覆とイランの体制転換。戦争したいのは誰なのか?

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