fbpx

サン電子 Research Memo(7):一時的費用を反映して損益予想を下方修正するも、前提条件に大きな変更はない

マネーボイス 必読の記事



■業績見通し

2020年3月期の業績予想(レンジ形式)についてサン電子<6736>は、上期におけるCellebriteの増資関連費用(約13億円)を勘案し、損益予想を下方修正した(売上高予想は据え置き)。修正後の業績予想として、売上高を27,500百万円~28,800百万円(前期比8.9%増~14.1%増)、営業損失を600百万円~1,100百万円(前期は200百万円の損失)、経常損失を600百万円~1,100百万円(同352百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失を1,270百万円~1,770百万円(同985百万円の損失)と増収ながら大幅な損失幅の拡大を見込んでいる。

売上高は、上期までの進捗に遅れがみられるものの、下期に需要期を迎えるDIを大きく伸ばすほか、厳しい業界環境の続いているエンターテインメント関連についても、前期から底打ちする想定となっている。また、M2Mも上期からの期ずれ分を含め、下期での巻き返しを図る方針である。

一方、損益面では、上期におけるCellebriteの増資関連費用を踏まえ、大幅な下方修正となったものの、下期の損益予想の前提について大きな変更はない。利益率の高いDIの伸びが収益の押し上げに大きく貢献する見通しとなっている。

(1) モバイルデータソリューション
売上高は19,500百万円(前期比5.9%増)~19,700百万円(同7.0%増)と増収を見込んでいる。上期の進捗に遅れがみられるものの、下期に需要期を迎えるDIを大きく伸ばす計画であり、MLC売却による影響を除くと、通年で約15%程度の伸びを実現する見通しである。また、損益面でも、増収による収益の押し上げを図る。

(2) エンターテインメント関連
売上高は6,150百万円(前期比17.5%増)~7,000百万円(同32.7%増)と増収を見込んでいる。厳しい業界環境が続いているものの、遊技機部品及びホールシステムともに伸長する見通しである。ただ、下期については業界環境の影響※を強く受ける可能性があることから、レンジ下限はその影響を織り込んだ水準となっている。また、損益面では、下期の販売が順調にいった場合には増益となる一方、厳しく推移した場合には損失となる想定である。

※特に、2019年末にこれまでホール収益を稼いできたパチスロ遊技機(旧基準機)の撤去期限を迎えるため、それに伴うホール経営への影響や設備投資の動向に不透明感が漂っている。


(3) 新規IT関連
売上高は1,580百万円(前期比33.6%増)~1,830百万円(同54.7%増)と増収を見込んでいる。上期からの期ずれ分を含め、M2Mにおいて自販機向け等が好調に推移する見通しである。一方、AR関連については、長期目線により実証実験先の開拓を優先することから大きな売上貢献は見込んでいない。また、損益面では、「AceReal」の開発がピークアウトするものの、まだ損失の状態が継続する見通しである。

(4) その他
売上高は前期比28.3%減の270百万円と減収を見込んでいる。主に既存タイトルの立て直しに取り組むものの、厳しい競争環境等により減収になるとともに、損益面でも損失の状態が継続する見通しである。

弊社では、需要が拡大しているDIの伸びなどにより、修正後の業績予想の達成は可能な範囲と捉えている。ただ、エンターテインメント関連事業における業界環境の悪化が業績の足を引っ張る可能性も念頭に置く必要があろう。注目すべきは、2021年3月期以降の回復に向けて、DIの成長加速やAR関連の収益化への道筋など、今後の成長ドライバーを担う事業の進捗にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


いま読まれてます

記事提供:
元記事を読む

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー