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日経平均は大幅続落、新型コロナウイルスに伴う世界経済減速懸念が重しに

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 日経平均は大幅に続落。219.00円安の23124.51円(出来高概算5億4122万株)と200円以上下落して前場の取引を終えた。前日の米国市場では、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受けて世界経済鈍化への懸念が強まり、主要3指数そろって1%強の下落となった。世界的なリスクオフムードから為替も1ドル=108円90銭台前後での円高基調が続き、こうした背景から、日経平均は前日比200円近く下げて始まった後、低位圏での推移が続いた。

 セクターでは、東証33業種すべてがマイナスの全面安商状。特に鉱業、石油、鉄鋼などが2%以上の下落となっており下げが目立っている。売買代金上位では、昨日までの大幅安からの反発でソフトバンクG<9984>が小高く推移。架空取引の発覚で大幅下落していたネットワンシステムズ<7518>も本日は自律反発で2%超上げている。一方、キーエンス<6861>、日本電産<6594>、SUMCO<3436>などが2%を超える大幅下落となっており、その他、ソニー<6758>、東エレク<8035>なども1%超の下げを見せている。他方、重松製作所<7980>や川本産業<3604>といったマスクや衛生用品の関連銘柄への買いは続いており、重松製作所は6%超、川本産業は22%超の上昇となっている。

 新型コロナウイルスによる肺炎感染者数については、27日に、これまでに確認されていなかったカンボジアやカナダなどといった国でも新たに観測され、中国メディアによれば、28日の日本時間午前8時頃には、中国国内の累計患者数は2889人、死者は82人に達したと報じられている。2003年のSARSの際には、結局、相場への影響は一時的でマーケットはすぐに回復したと楽観的な見方がある一方、当時よりも中国の経済成長率が落ちていることや、訪日観光客数が20倍以上にも増えていることから、2003年時とは状況が違うと警戒する声も聞こえている。当面は事態の収束に向けて不透明感が払拭されない限りは、投資家も積極的に買い進むことは難しいだろう。

 ただ、市場のムードは総悲観といった感じではない。本日の日経平均は寄り付きから200円以上下げてあっさり75日移動平均線を割り込んだが、その後は、この先の新型肺炎の行末やこれから始まる主要企業の決算などを見極めたいといった思惑から、下値を拡げるような展開にはなっていない。実際、前引けの時点で日経平均は節目の23000円を割り込むどころか、その手前の23100円台手前で下げ渋っている。短期的なところで昨日の先物手口をみても、極端に目立った売り越しを見せているところは確認されていない。個別でも、防毒マスクや除菌剤を手掛ける新型肺炎の関連銘柄への物色が連日観測され、ジャスダック市場の売買代金も高水準であることから、個人投資家などの買い意欲は依然として旺盛とみられる。

 また、23日に発表された米半導体大手インテルの10-12月期決算では、市場予想を大きく上回る内容が確認されたことに加え、経営陣からは「需要面で現在感じ取っている兆候を好感している」などと見通しの良好さを裏付けるような発言があった。日本でも、半導体製造の後工程で代表銘柄であるディスコ<6146>が市場予想を上回る業績結果および良好な受注見通しを示したばかりだ。また、市場の注目を集める日本電産<6594>でも下方修正の発表があったものの、最高経営責任者の永守氏は「だいたい大底を打った」との発言をした。

 その他、回復見通しの世界の半導体売上高や低迷していたユーロ圏購買担当者景況指数(PMI)の改善など、マクロの指標では引き続き世界景気の底入れ感を確認するような動きが観測されている。引き続き、中国発の新型肺炎の行末には注意が必要だが、足元での対策が功を奏して感染者数の拡大への歯止めなど、ある程度の収束感が確認されれば、市場は世界経済の改善および企業業績の底入れ感というメインシナリオに戻っていくと考えられる。それまでは幕間繋ぎ的な形での個別株物色といった展開となろう。
(仲村幸浩)

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