誰も信じられなくなった文在寅
さらに大きな問題は、文在寅(ムン・ジェイン)政権に見られる不安感である。
官僚人事では、公平性が消えてしまい、もはや誰も信頼できない雰囲気になっているという。同じ理念や特定地域の出身者だけを集めざるを得ないからだ。
検察の人事では、「所得主導成長をどう思うか」という思想検証までしたという。文政権の権力支持基盤は、「学生運動出身+湖南」に絞るという退行症状が目立っている。
以上は、『中央日報』(2月12日付コラム「文大統領は7年前にすでに答えを知っていた」)が伝えた。
こういう文政権の退行症状は、朴槿惠(パク・クネ)政権時にも先行事例が指摘されている。
朴槿恵(パク・クネ)政権が崩壊する不吉な兆候は、2014年から表れていた。その象徴的な場面が、3大権力の中枢である検察・警察・国税庁のナンバー2の席に大邱(テグ)青丘高出身者を座らせたことだという。
こうした人事は、不安定で窮地に追い込まれる政権ほど、信頼できる人物を側に置きたいと執着する結果である。これが、政治的な自殺行為となった。
朴前大統領は、崔順実(チェ・スンシル)との関係を断ち切れず、側近に囲まれて最後は弾劾の道を歩むことになった。以上は、前記の『中央日報』が論じたものだ。
検察が文政権の番犬に
文政権が、すでに朴政権の辿った「転落人事」に陥っている。これは、注目すべき政治的退行現象だ。
文大統領は、就任時に「国民統合」という大きな目標を掲げた。現実には単なる看板に過ぎず、支援者の利益のみに奉仕する党派政治に陥っている。
検察の人事では、前述の通り「所得主導成長をどう思うか」という思想検証までした。政権に弓引く人間は、政権内に引入れないという原則を明確にし、守りを固める決意である。
検察が、文政権の利益へ奉仕させる「番犬」の位置づけにされた。これは、きわめて危険である。金大中(キム・デジュン)政権当時にもなかったことだという。
文政権は、進歩派政権の退行現象を決定的にした点で罪深い存在になった。