すべては「親中朝・反日米」
文政権の危険性は、「親中朝・反日米」基調にあることだ。GSOMIAという国家の土台に当る安全保障政策を、オモチャのように弄んでいる政治感覚の危険性である。
GSOMIA破棄論は、日本との安全保障協力は破棄することにも通じる。日本の安全保障上の価値が天秤にかけられている議論でもあるのだ。韓国の一部では、時々使える衛星情報を提供する国という程度で考えられているようだ。
これは韓国にとって、日本の安全保障上の重要性を知らずに言うことだと批判されている。
朝鮮戦争初期、韓国軍は釜山一帯まで追い詰められる事態となった。李承晩政権は、山口県への「避難」も考えたほどで、当時も今も日本が、韓国の安全保障に果たす役割は大きい。駐韓米軍の後方基地は、在日米軍である。日本の後方基地があるから、韓国の安全保障に役立っている。
こういう認識が、文政権にはゼロである。驚くほど無知である。
1977年1月、ウォルター・モンデール副大統領が日本を訪問し、在韓米軍撤収方針を伝えた。自民党議員は、一斉に立ち上がって米国へ反対する請願まで出した。2カ月後、日米首脳会談のためにワシントンを訪問した福田赳夫首相は、「『撤収』ではなく『縮小』に向かうべき」とカーター大統領を説得した。
結局、全面撤収に固執したカーター大統領は縮小に旋回した。米政府内の反対の影響も大きかったが、日本のロビー活動が作用したというのが定説だ(『中央日報』(2019年8月16日付が報じた)。
日本が、韓国の肩を持ったのはもちろん自国の利益のためである。動機はともあれ、日韓両国の安全保障上の利害が一致して、過去に協力したケースは少なくない。
ところが、文政権の安全保障政策は日米韓3ヶ国の防衛ラインを強固にすることよりも、中韓の安全保障に肩入れする傾向を見せている。
つまり、日米との安保協力よりも中朝韓3ヶ国の関係をスムーズにして、安全保障を維持するという「夢のような話」に夢中である。
小中高生は北へ警戒感
文政権が、GSOMIA破棄論などと世迷い言を言っている一方で、韓国の小中高生の方が、はるかに現実的な見方をしていることが判明した。
昨年、南北および米朝関係が行き詰まったことで、北朝鮮を「協力の対象」と考える韓国の青少年が大幅に減ったことが判明した。
一方、「北朝鮮」という単語から戦争・軍事、独裁、貧困など否定的な単語を連想する青少年が増加している。以上は、下記の調査結果に基づく。
韓国統一部(省に相当。以下同じ)と教育部は、昨年10~11月にかけて、韓国各地の小中高生6万6042人を対象に「2019年学校統一教育実態調査」を行った。
その結果、北朝鮮について、次のような結果が出た。
「協力の対象」:43.8%(前年より7.1ポイント下落)
「警戒すべき対象」:35.8%(同7.6ポイント上昇)
「助けてやるべき対象」:12.1%(同3.9ポイント減少)
「敵と考えるべき対象」:5.2%(同3.1ポイント増加)
韓国の学校教育現場は、北朝鮮の「チェチェ思想」(主体思想)に凝り固まった教師が跋扈している。日常、「親中朝・反日米」を教え込んで問題を起こしているほどだ。
それにも関わらず、北朝鮮への警戒論が増えている。