経営陣は孫を見て勉強せよ
銀行にできること言えば、とにかく生き残るためにコストを削ることくらいしかないように思えます。人員削減はその中で最も手っ取り早い策でしょう。
しかし、このような状況に陥ってしまったのは、かつての安定した状況にあぐらをかいていたからではないでしょうか。少なくとも、冒頭で語った私の経験のようなことを踏まえると、顧客のことを考えているとはまったく感じられませんでした。
一方は、楽天やヤフー(ジャパンネット銀行)などのネット系銀行は、低コストと利便性の高さで評判を獲得し、事業を拡大させています。そもそも、お金はバーチャルかつ曖昧さのないものですから、ITとは抜群に相性が良いはずなのです。
それを有効に活用することなく、いつまでも顧客に不便を強いてきたことは経営の怠慢でしかありません。
今、銀行に求められているのは「フィンテック」なんて格好の良いものではありません。顧客を向いて少しでも使いやすいシステムを開発し、柔軟に導入し続けることです。
ITに疎い経営陣は、自分の孫がスマホを自由に操る姿を見て勉強するべきです。
デジタル化は自社のコスト削減にも直結します。それを実行することができれば、やがてはこの苦境から抜け出し、真に会社の価値を伸ばすことができるでしょう。今はまさにその過渡期と言えるのです。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年5月18日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。