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日経平均は2日ぶり反発、一段と進む経済活動再開の動きを好感

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 日経平均は2日ぶり反発。257.86円高の22135.75円(出来高概算5億9089万株)で前場の取引を終えている。

 前週末5月29日の米株式市場ではNYダウが17.53ドル安となった一方、ナスダック総合指数は120.88ポイント高と高安まちまち。トランプ大統領の対中方針に関する会見時間が発表されると、警戒感から一時下げ幅を拡大したが、警戒されていた中国高官を対象とした制裁や旅券発行制限に関する言及がなく、また、米中第1段階貿易協定は続行する見通しとなり、安心感から引けにかけてはNYダウは下げ幅を縮小して取引を終えた。前場の日経平均は懸念材料だったトランプ米大統領の会見が無難に終わった安心感から買いが先行し、そのまま上げ幅を拡げた。結局、22000円の節目を軽々超え、本日の高値圏で取引を終えている。

 個別では、今期ガイダンス開示で不透明感が後退した日立<6501>が3%超上昇したほか、第1四半期が好進捗だったトリケミカル<4369>、前期収益が想定以上に大幅改善した曙ブレーキ<7238>などが大きく上昇した。そのほか、東証1部の売買代金上位では、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>、アドバンテスト<6857>、村田製<6981>などのハイテク株の上げが目立っている。

 セクターでは、証券・商品先物取引、海運業、情報通信、空運業、電気機器などが上昇率上位。一方、医薬品、陸運業、非鉄金属、銀行業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の44%、対して値下がり銘柄は52%となっている。

 本日の日経平均は軽々と節目の22000円を超えてきた。週間の上げ幅が1500円近くに及んだ前週の日経平均は週末にはトランプ米大統領の会見を警戒して5日ぶりに反落したものの、その懸念材料だった会見内容が穏当に終わったことから、本日は安心感の買いが優勢となっているようだ。また、本日1日から、東京都は商業施設や映画館などで休業の要請を解除し、緩和行程を3段階で示すロードマップの「ステップ2」に移行した。国内で一段と進む経済活動再開の動きが投資家心理をさらに上向かせた面もあろう。

 テクニカル面では、前週に200日移動平均線を上抜いた日経平均は、本日の上昇で遂に5日線が200日線を上抜いてきた。また、25日線も75日線を上抜きゴールデンクロスを示現しているほか、中長期的なトレンドを示す200日線自体も上向きに転換してきている。

 今週は米ISM製造業景気指数や米雇用統計など重要経済指標の発表が多く控えおり、前回よりは改善を示すことが期待されているが、絶対的な水準としては依然として厳しい内容となることが予想されている。しかし、これまでの経緯をみても、市場は悪い経済指標にはほとんど反応を示してきておらず、今回も同様の動きが予想される。

 そうした中、想定外の悪い実体経済を確認するのは4-6月期決算を確認する秋口頃となり、それまでは足元の楽観ムードが底堅い動きを継続させる可能性が高い。5月第3週の投資主体別売買動向では最大の売り手だった海外投資家も遂に買い越しに転じてきている。これまで大きく積みあがってきた裁定売り残の解消に伴う買い戻しという需給要因の下支えもある。こうした中、マザーズ指数もついに1000ptという大台を回復してきた。マーケットはいまや強気局面に入ったかのような様相を呈している。

 ただ、本日は銀行や非鉄金属、ゴム製品、石油・石炭などのバリュー株が多く存在するセクターは上昇していない。自動車などが含まれる輸送用機器なども小幅な上昇にとどまっている。バリュー株も揃っての強い上昇ではないところを見ると、やはり、まだ楽観一色でないともいえる。

 こうした環境下では、これまで上昇してきた銘柄が一層買い進まれる一方、買われなかった銘柄はそのまま放置されるような人気・不人気による勝敗が一層表れる相場展開になることが予想される。個別では、コロナショックが一番酷かった3月最安値からみてチャートが緩やかにでも上昇基調になっていないような、いわゆる底を這っているような銘柄には指標が割安でも手を出さない方がよいだろう。トレンドが出ているものにそのまま素直に乗るか、トレンドが出始めているものの傾きが緩やかで出遅れ感があるものに目を向けることを進めたい。
(仲村幸浩)
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