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コロナは恐ろしいが資金の流れを読もう

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[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;22131.14;-341.77
TOPIX;1560.16;-28.76

[後場の投資戦略]

 前日の米市場でNYダウが過去4番目の下げ幅を記録し、本日の東京市場でも売りが先行。日経平均は前日からの急ピッチの調整で22000円を割り込む場面があったものの、その後は下げ渋る動きも見せている。日足チャートを見ると、21700円台に位置する200日移動平均線が下値を支えている格好だ。売買代金上位は全般軟調ながら、ファーストリテが強含みで日経平均を押し上げ。任天堂が高値圏をキープし、中外薬にいたっては取引時間中の最高値を更新してきており、期待の根強さを窺わせる。経済活動の再開状況に振らされやすいリクルートHDなども売り一巡後は下げ渋っているが、国内で「東京アラート」が解除されたことなどが影響しているかもしれない。ここまでの東証1部売買代金はメジャーSQで膨らみ2兆円弱となっている。

 新興市場ではマザーズ指数が続落。朝方売りがかさんだものの、すかさず押し目買いが入り、1000pt近辺まで戻している。バイオ関連株やインターネット・IT関連株を中心に買いを集めており、個人投資家の新興株に対する期待はなお強いようだ。

 アジア株式市場も総じて軟調。時間外取引のNYダウ先物が上昇に転じていることは支援材料となり、日経平均の22000円割れ局面での下値の堅さも意識されそうだが、記録的なNYダウ急落の後だけに今晩の米市場の動向を見極めたいとの思惑が出てくるだろう。後場の日経平均はマイナス圏でのもみ合いを想定しておきたい。

 さて、株式相場の急ピッチの調整について「米国でのコロナ再拡大への懸念」との解説が付けられているものの、率直に言うとやや疑問ではある。段階的な経済活動の再開や人種問題を巡るデモなどで感染者数が再拡大しつつあることはこれまでも度々報じられてきた。もちろん懸念されることではあるが、これに市場が反応したというのは「今さら」との感が強い。それよりも、10日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて、短期的に「株式から債券への資金逆流」が発生したというのがタイミング的にも妥当のように思われる。一昨日の当欄で指摘したとおり、FOMCは投資資金の向かう先を見極めるうえで重要なものだった。

 しかし、現時点ではこうした資金移動は長く続かず、日経平均は最大でも21000円台までの調整にとどまると予想する。根拠としては、(1)債券から株式へのシフトが明確に見られ始めたのは日経平均が21000円を超えたあたりからで、資金移動の影響による調整余地は限られる。(2)米長期金利は低下に転じ、従前の上昇分を帳消しにしつつある。低金利の長期化が予想される一方、更なる大幅な低下を予想する向きは少ない。(3)海外ファンドは過剰流動性を背景とした株価上昇に白旗を上げ、「二番底」シナリオを修正したばかり。結果的にFOMCでは強い金融緩和環境が長期化することが確認され、改めて売り持ち高の積み上げに動くとは考えにくい、(4)買い遅れていた投資家も多く、この調整は押し目買いの好機と映る、などが挙げられる。

 但し、短期的には急騰したVIX(米株の変動性指数)の影響や、中長期的には為替の円高傾向の影響を注視する必要があり、「とりあえず買い進む」といった動きは取りにくくなるだろう。金利の再低下に伴いバリュー(割安)株のリバーサル(株価の反転上昇)に対する期待も後退。前日から強い値動きを見せている任天堂などが「過剰流動性×ニューノーマル(新常態)」下での中核銘柄として期待されそうだが、長くなってきたのでこのあたりの話は次回以降としたい。
(小林大純)
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