ソフトバンクとKDDIが、サブブランドの名前に自社ブランド名を使わない理由
そもそもソフトバンクやKDDIが、なぜサブブランドに自社のメインブランドの名前を使わないのか。その理由を少し考えてみましょう。
普通に考えると、ブランド認知にかかるコストというのは非常に大きいので、ソフトバンクやauという名前が認知されているのであれば、サブブランドに関してもその名前を使った方が、本来であればマーケティング費用が安く済むわけです。
・UQモバイルはauのサブブランドに
UQモバイルは通信速度の点でも優位です。MMD研究所の調査によれば、UQモバイルの通信速度は他の格安スマホと比較して上位にあり、ソフトバンクの格安サブブランドであるワイモバイルをも上回っています。
また、今年10月には、auを展開するKDDIが「UQモバイル事業」をUQコミュニケーションズから継承予定。つまり、UQモバイルは「au」の格安サブブランドとなり、KDDI自らが運営することになります。その意味では、今後も安定したサービス展開が期待できます。
出典:UQモバイルが「楽天キラー」な新料金、月2980円で10GB・超過後1Mbps – Engadget(2020年5月25日配信)
ここにあるように、KDDIに至っては、UQモバイル事業を子会社から親会社に関してまで積極的に介入しようとしているわけです。そこまで積極的に介入しようとしているのに、何故ブランド名を統一しないのでしょうか。
ブランド名を統一しない一番の理由は、「似たようなサービスをまったく違う価格帯で販売しているから」と言えるのではないでしょうか
ソフトバンクとYモバイルのサービスを比べると、当然、ソフトバンクの方が至れり尽せりのサービスをしているわけですが、本質的に提供しているサービスは、データ容量などの違いはあれども非常に似ていると言えます。auとUQmobileに関してもまったく同じ構造になります。
一方で、料金体系は倍近く違うことになるわけですが、似たようなサービスを2倍近い値段の差を付けて販売している状況の中で、ブランド名を統一してしまうと、ユーザーが安いほうのプランにどんどん流れていってしまって売上が減る、という恐怖がかなり大きいのではないかと思います。
ソフトバンクもau・KDDIも、MVNOにシェアを取られて、その対策の一環としてYモバイルやUQモバイルを積極的に展開しているわけですが、価格帯の違いがあまりにも大きいため、本体のブランド名とサブブランドの名前を統一するには未だ至っていない、というのが現時点の状況だと言えるでしょう。