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楽天ペイ×Suicaを使うのが正解?Suicaが第2次スマホ決済戦争のキーマンに=岩田昭男

Suica発行できるのはAndroidだけ

ちなみに楽天ペイアプリでSuicaを発行できるのは今のところAndroidスマホだけ。iPhoneはまだ対応していないが、Apple PayでSuicaを発行し、楽天カードと紐付ければ200円につき1ポイントの楽天ポイントが貯まる(ただし、毎月1回楽天ペイからのキャンペーンエントリーが必要である)。

5月25日からはAndroidスマホの楽天ペイアプリ内で、Suicaを無料で発行できるようになった。モバイルSuica利用者も、アプリ上で利用中のSuicaを連携登録することで連続的に使える。

これまではQRコード決済で交通系電子マネーを使える例はなく、楽天ペイで使えるようになったのは画期的だ。楽天ユーザーなら、導入する意義があるだろう。

さらに「IC」マークのあるエリアなら、全国どこでも買い物や乗車に利用できる。具体的には、PASMOやKitaca、manaca、ICOCAなど。

基本、全国主要な交通機関で使えるので、頭に入れておくと便利だ。

JR東日本にとってはチャンス到来!

一方のSuica(JR東日本)にとっても、楽天とのコラボレーションは願ってもないチャンスであった。

もともとJR東日本は、モバイルSuicaを中心に事業を推進したいと考えていた。スマホに入れてしまえば、様々な情報と連携した新しいサービスを用意できると期待したからだ。

そのために2009年頃から積極的に携帯キャリアに働きかけをしてきた。

ところが、よくご存じのペンギンの「Suicaカード」は、便利かつ可愛いのでその人気は衰えず、長い間、発行枚数でモバイルSuicaを大きく引き離してきた。

救世主となったのは、2017年に発行になった「Apple Pay」であった。Suicaに惚れ込んだ米国アップル社員によってiPhoneにSuicaが標準装備されることになり、大きく躍進した。

しかし、その後の展開は芳しくない。Suicaは提携先を探してみずほ銀行のスマホに入ったりしたが、思ったほどの成果はなく停滞が続いた。

FeliCaが繋いだ楽天との仲

そこで浮かんだのが楽天との提携であった。今回の提携は楽天側からの申し出といわれるが、真相は籔の中。定かではない。

ただ筆者が思うに、楽天EdyはSuicaの兄貴分である。EdyもSuicaもどちらもソニーの非接触ICチップFeliCaを使っている。JR東日本はSuicaを開発するのに、ソニーの技術陣と何年もの間苦闘してFeliCaの改良を進めてきた。

その関係で両者は親密な付き合いがあるといわれる。今の楽天グループの幹部にもソニー出身でEdyに関わっていた人物が入っていることから、その線で話を進めたのかもしれない。

そんなわけで、昨年の春段階でははっきりとした計画はなかったものの、とりあえず提携したことだけ発表しようとなっていたのだ。

それにしても「なぜ1年も前に発表したのか?」と言うことだが、楽天としては、ライバル各社(NTTドコモ、ソフトバンク、auなど)がSuicaを取りに行くのを防ぎたかったからではないかと思っている。それで早めに発表して、唾をつけておきたかったということだろう。

Next: 楽天にとってはよいことずくめの提携であったが、JR東日本にとってはどう――

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