順調に独立、のはずが……
長年の夢だった業界1位を達成し、FCの世界では、功成り名を遂げた大竹さん。次第に「このFCノウハウを活かすことで、古巣のオフィスビル業界にも新風を起こせるのではないか」と思うようになりました。
そこでラーメンチェーンを退職し、今度は「不動産業界で革命を起こしたい」と考え、42歳にして独立を果たしたのです。
不動産業界にも、いくつかFCの形態を導入しているビジネスはありました。しかし賃貸住宅仲介業のFCは存在しても、なぜかオフィス仲介業をFC化しているところがありませんでした。
そこで大竹さんは「オフィス仲介ビジネスのFCがないなら、自分でつくればいい」と考えます。こうして、オフィス仲介ビジネスのFC化を目指してビジネスをスタートさせたのです。
お店を2店舗出し、FC化に向けて順調な滑り出しを見せたかに見えた大竹さんでしたが、なぜかこのFC事業は毎月の売上の波が大きく、軌道に乗りませんでした。
サラリーマンの時に賃貸業をしていたので、オフィス仲介業はよく知っているはずでした。しかしオフィス仲介業はストック(積み上げ式)ビジネスとは正反対の、フロー(リピートが起きにくく時間が経っても安定しない)ビジネスでした。
契約を積み上げてもリピートが生まれにくいという特性を持つビジネスであり、さらに成約フィーが収益となるため、売上が上がる月もあれば、全然ダメな月もあって、少人数経営のFCでは経営が安定しません。
しかも商売をしている以上、家賃や人件費などの固定費は確実に発生します。満を持して立ち上げたはずの会社が、加盟店に安定収益を約束できず、2年後にはFC事業を撤退することになったのです。
「ストックビジネス」が事業継続のカギ
危機的状況の中にあって、大竹さんは「なぜダメなんだろう?」と考え続けました。そしてようやく気づきます。
賃貸住宅仲介のFCを運営している会社は、実際は賃貸仲介だけをやっているわけではありません。彼らは他に、建物管理といった安定収益事業を手がけていました。
建物管理は継続性の高いストック型ビジネスです。つまり賃貸住宅仲介というフロービジネスに、建物管理というストックビジネスを組み合わせてFC化していたのです。
一方、大竹さんが行なったのはオフィス仲介業だけのFC化、つまりフロービジネスだけで構成されていたため、FC本部として加盟店に安定収益を約束できるビジネスにはなっていなかったのです。