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麻生氏「給付金は貯金が増えるだけ」の何が悪い?日本の庶民は賢い=高梨彰

「家具・家事用品」の消費は目立って増加

そして、給付金が消費増に繋がったかどうか確かめるため、試しに総務省の家計調査をみてみます。

こちらは解釈が微妙です。値をそのまま申し上げると、5月まで減少した後、6月以降は5月よりも増加しています。しかし、これは一気に落ち込んだ消費の反動と捉えることも可能でして、給付金の影響がどれだけあるのか、判断は難しいところです。

一方で、品目別の値をみると、目立った特徴があります。「家具・家事用品」の増加です。

6月以降、(名目の)前年比増減率は、6月+31.4%、7月+20.4%、8月+11.1%です。全体の支出はこの期間もマイナス(6月-1.1%、7月-7.3%、8月-6.7%)。この中での2ケタ増は特筆すべきところです。

細かくみますと、エアコンや冷蔵庫、洗濯機などの支出額が増えています。

思うに、「10万円の範囲内で、今まで買うのをためらっていたものを求める人が増えた」ということではないでしょうか。1点ならば居間用のエアコンや洗濯機などでしょうし、ホームセンターやネットでまとめ買いするなら、雑貨を何点か求めるのではないかと。

一方で、普通預金がほぼ給付金分だけ新たに増えた現実を勘案すれば、10万円の給付金がそのまま使われることもない、とも。

「心理的な支え」の面が大きい

麻生さんの立場ならば「効果は薄い」ですし、反論するならば「新たな消費を生んだ」です。

費用対効果の捉え方1つで、見解は異なります。「お前はどうなんだ」と聞かれれば、一個人としては「もらえるならば下さい」です。一方、マクロ経済、全般的な考え方でみれば、「給付金は、消費を刺激するより、10万円を得ることによる心理的な支えの面の方が大きい。数値としての刺激効果は限られる」となります。

巷の「5万円追加」にしても、「再び10万円」にしても、結果は一緒かと。

GoToなんとかへの期待も出るでしょうが、基本は同じ。むしろ5万円給付の方が、GoToトラベルの上限金額と重なり、波及効果があるかもしれません。

もともと貯蓄志向が強い日本人におカネを与えたところで、喜んで貯金するだけです。

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