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なぜ無印良品株を3月の投げ売りで買えたか?バリュー投資家の目線=栫井駿介

「数年先の未来」を見た結果

以下が当時会員に宛てたメールの抜粋です。

会員の皆さま

以下の銘柄が約定しました。
良品計画(7453)100株 1,330円
指値より大幅に低い価格での約定です。投げ売り状態と言って良いと思います。
バリュー株投資家にとって、このような時ほど買いどきです。回復に時間がかかったとしても、ここでたくさん買えれば、将来の資産が大きく増える可能性が増します。
見るべきは目先の状況ではなく、数年先の未来です。

2020年3月9日 つばめ投資顧問会員宛メール

「数年先の未来」とは、コロナが収束し、これまでの成長路線に回帰したときの未来です。減益要因となった投資が効果を顕し、中国を含めた店舗が増えれば業績が向上している確率はとても高いと判断しました。

もっとも、その未来を確認すべく、店舗へも足を運びました。すると、客は減るどころかむしろ増えていて、特に学校が休校になっていたことから棚がスカスカになるほどお菓子が売れていたのです。

そこで私は「これは食品が来る」と確信し、その後さらに買い増しを進めました。以下は株価が大底をつけた3月19日に会員に宛てたメールです。

以下の銘柄が約定しました。
良品計画(7453)200株 1,000円
まさかこの値段で買えてしまいました。これで買いはじめから目標としていた10分割前の単元(1,000株)に到達です。
今まさにイオンモール内の無印良品に来ていますが、平日にしては人が多い印象です。新型コロナの影響により自宅で過ごす機会が多くなると、「体にフィットするソファ」やレトルトカレーを重宝します。棚を見ると、子供向けなのかお菓子が売れている印象を受けました。
目先芳しくなくても、まだまだ長期的な成長が期待される財務良好銘柄です。正直、時価総額3,000億円はありえない数字だと思います(ニトリ1.5兆円、しまむら3,000億円)。あとはじっくり上がるのを期待したいと思います。

2020年3月19日 つばめ投資顧問会員宛メール

橋から落ちなければ「合格」にたどり着ける

この買いが功を奏し、良品計画の株価は大底の2倍以上に上昇しました。ここで買えた多くの会員が資産を増やせたのです。

良品計画<7453> 日足(SBI証券提供)

良品計画<7453> 日足(SBI証券提供)

足元の株価だけを見ていたらこの成果を得ることはできなかったでしょう。3月の株価はまさに「投げ売り」状態でした。筆頭株主だった機関投資家も売りに回り、目先を見れば下がることが明白だったからです。

それでも、遠くを見続けたからこそ、私は買うことができました。まさに一本橋さながらです。

一本橋で遠くを見るべき理由は、身体の重心をブラさないためだそうです。近くが気になるとどうしても細かなズレを修正しようと余計に動いてしまいます。それでズレがさらに拡大してついには橋から落ちてしまうのです。

一方、遠くを見ていると、まったくズレていないということはないのでしょうが、そんなことは気にならないので落ちるほどには至らないということです。重心さえ傾かなければ、30cmの幅からは容易に落ちることはありません。

長期投資でも同じです。企業の数年後の未来さえ見続けていれば、足元の株価変動や細かな材料に左右されることはありません。そこで下手に動くと、得られるはずだった利益も得られなくなってしまいます。

細かくトレードして最高の動きができれば良いですが、実際はそんなにうまくいきません。それならせめて30cmの橋から落ちないように気をつければ、誰でも「合格」にたどり着けるのです。

さて、すでに買値から45%の利益をあげている良品計画ですが、これからどうすべきか、会員の方ならよくわかっていると思います。見るべきは足元ではなく、数年先の未来です。

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image by: saruntorn chotchitima / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年10月26日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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