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中国が「若者のクルマ離れ」を阻止。日本が学ぶべきZ世代向け戦略=牧野武文

Z世代が欲しがる製品とは?

まず、Z世代の消費生活に対する態度を押さえておきましょう。

消費者に消費の態度を尋ねたアンケート結果が公表されています。それを見ると、Z世代は「新しい」「テック」「流行」に高い関心があることがわかりました。

一方で、Z世代の回答が少なかったのが「他人の評価」「今を楽しむ」「自分の好き嫌い」です。他人の目を気にせず、我が道をいく割には、自分の好き嫌いに固執をするようなことはない仏(ほとけ)系だとよく言われます。

また、今さえ楽しければいいという生き方は賢いものとはされず、長期で自分の人生を考える傾向があります。日本のスタバでMacBookを開いてしまうような意識高い系に近い感覚だと個人的に思います。

これまでの世代論――団塊の世代やミレニアム世代――は世界で共通しているところもありますが、それぞれの国や文化によって、感覚や考え方に違いがありました。しかし、Z世代は、グローバルなネットワークが日常になったため、国や文化による違いが少なく、世界共通になりつつあります。

次は、「自動車を例えるのに最適な表現は?」という質問の回答を紹介します。「テクノロジーデバイス」「スマート機能のある移動空間」という回答が他の世代よりも多く回答されています。

また、「どんな体験が未来テクノロジー体験だと思うか」という質問の回答を見ると、上位にくるのは「自動運転」「人工知能アシスタント」「5G」となりました。

Z世代は運転の楽しさを求めていない

この2つのアンケートから、Z世代が車にどのような興味の持ち方をしているかがわかります。

従来のように、運転をすることの楽しさや自由に移動できる利便性ではなく、テクノロジーに没頭できる移動空間だと考えているのです。

ここ数年でカーナビは進化をして、人工知能アシスタントになり始めています。また、テスラは中国でも非常に人気があり、注目されている自動車メーカーです。さらに、ロボタクシー、ロボバスは実証実験の段階が終わり、正式営業が始まっています。Z世代は、このような車の新しい潮流に惹かれているのです。ひょっとすると、スマートフォンやゲーム機と同じベクトルに位置しているのかもしれません。

長時間の試乗が必須。購入の決め手とは?

面白いことに、Z世代が車を購入するときに重視をするのが、4S店と呼ばれるディーラーです。中国のディーラーも日本とほぼ同じですが、中国では4S店と呼ばれます。4SとはSale、Spare Parts、Service、Surveyのことです。車を買う場所は、上の世代とあまり変わりありません。

しかし、利用目的が違っています。上の世代がディーラーで購入をするのは、詳しい情報が得られる、手厚いサービスを受けられる、メンテナンスにも対応してくれるなどの理由ですが、Z世代がディーラーを利用するのは試乗体験ができるからです。Z世代にとって、この試乗体験が重要になっています。そのため、各自動車メーカーが試乗体験ができる拠点を用意して、スマホで予約をして試乗体験だけできるというサービスも人気が出ています。

試乗といっても、以前は「その辺りをひとまわりしてくる」程度、ほぼ購入は決めていて、最終チェックのような感覚でしたが、Z世代の試乗は、試乗をしてからどの車にするかを考えるというもので、数時間、あるいは半日以上の試乗が好まれます。

従来の試乗は、運転しやすいか、乗り心地は快適かという点を確かめるものでしたが、Z世代の試乗は、カーナビの使い勝手や、スマート機能の使い心地を確かめるためのものです。そのため、数十分ではわからないのです。

Next: Z世代はどんなクルマを買う?ほかの人気製品にも当てはまる特徴とは

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