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脱炭素を盾に原発再稼働を進める菅政権。日本の命運を分ける3つの選択肢=斎藤満

日本の技術力が試されるとき

現在太陽光発電など、CO2を出さない発電を利用して水素を作っているので、生産量に限界があり、コスト高となっています。

当面はオーストラリアなどから液体水素を輸入して補うことになりますが、製造する際の資源としては無尽蔵の水か、泥炭でよいので、あとは水素を発生させる技術開発が進めば、大幅なコストダウンが可能になります。

また水素電池は、自動車以外にも飛行機や多目的に活用できるだけに、リチウム電池に負けない応用分野の広がりが期待できます。

またリチウム電池の場合も、常温超電導と組み合わせれば、運動エネルギーを電気エネルギーに転換して、無限の再生産も可能になります。

どちらも日本の技術力が試され、世界をリードしうる分野です。

エネルギー生産に原発を入れるのか? 脱炭素は原発容認に非ず

発電の際、日本ではCO2排出の多い石炭火力発電を減らしていますが、最終的には原発による発電が2割以上占める形を想定しています。

この点、ドイツなど欧州が風力や太陽光など再生可能エネルギーへのシフトを進めているのとは異なります。

しかし、CO2排出による温暖化の問題と、放射能汚染による被害と比べれば、安易に原発依存というわけにはいきません。特に、東日本大震災で福島原発の処理も進まない日本が、今後も同じような問題を起こさないという保証はありません。

ひとたび原発事故が起きると、そのトータルコストは電力会社の経営はおろか、一国の財政も大きく揺るがす問題になることは経験した通りです。

福島の原発事故はいまだに「アンダー・コントロール」ではありません。核燃料の取り出しにめどが立たず、汚染水処理すら行き詰まっています。東南海大地震やそれによる津波で、太平洋側が「福島化」すれば、日本は立ち直れない被害を受けます。

少なくとも国民感情では、脱炭素 =(イコール)原発容認ではありません。

脱炭素社会の実現に向けては、再生可能エネルギーの生産体制を構築し、そのためのインフラ投資を進める必要があります。米国がバイデン政権となり、CSIS(戦略国際問題研究所)が力を持つようになれば、ますます原発依存は難しくなります。良好な日米関係維持の面からも、再生可能エネルギー主体の発電により、脱炭素社会を描く必要があります。

原発稼働ありきで進むエネルギー政策

その点、政府は2012年に600億円を投じて「復興事業」の象徴として始めた福島沖20Kの洋上風力発電から撤退し、その撤去にさらに50億円かけると言います。

だから原発しかないと言いたいのかもしれませんが、計画自体に問題があったと見られます。

ドイツなど欧州では現実に稼働していて、原発の代替エネルギー源になっています。日本は計画、設計の段階から見直しが必要です。

Next: CO2排出抑制か、CO2吸収か。脱炭素を経済拡大のエンジンにせよ

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