中国が暗号資産「全面禁止」を発表したことで一時は相場全体が崩れたが、すぐに落ち着きを取り戻した。これはつまり、市場は中国政府の規制を織り込み済みだったということだ。さらには、規制発表後にも暗号資産の買い増しを勧める著名投資家がいる。『金持ち父さん、貧乏父さん』の著者で大富豪のロバート・キヨサキ氏だ。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2021年9月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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中国による暗号資産の全面的な禁止
ビットコインを中心とした暗号資産の全体的な状況について解説したい。
今週はなんといっても、これが大きな動きであった。9月24日、中国の中央銀行である「中国人民銀行」は、仮想通貨関連指針に関する質問に答える形式の公示で、暗号資産関連取引はすべて違法だと発表した。
暗号資産の売買から、仮発行のための資金調達や派生商品の取引まで、すべての関連金融活動を違法と規定した。また「中国人民銀行」は、外国取引所がインターネットを通じ、中国投資家に仮想通貨の取引を提供することも徹底的に取り締まるとした。
さらに、金融機関、決済サービス会社、インターネット会社などが法定通貨との交換を含む仮想通貨関連取引を提供できないようにし、仮想通貨関連取引の危険性に対する監視も強化すると付け加えた。
この発表を受け、ビットコインの価格は一時5%、イーサリアムは8%ほど下落した。
一時はパニック売りの増加から、ビットコインを始めとした中心的な暗号資産の価格は半値までクラッシュするのではないかとの否定的な予測や、これがきっかけとなり、暗号資産は将来消滅に向かうのではないかという悲観的な見方も出ていた。
しかし、実際にはそうはならなかった。
ビットコインもイーサリアムも、5%から8%ほど下げた後、わずかながら値を戻し、いまは480万円前後の水準で安定的に推移している。
中国の暗号資産「全面禁止」は織り込み済み
一部で予想されていた相場の全面的なクラッシュが起こらなかったのは、中国による暗号資産の全面禁止はすでに市場に織り込み済みであったことによる。
このメルマガでも何度も書いているように、中国が来年2月の北京冬季オリンピックにも本格導入する見込みの「デジタル人民元」と合わせるタイミングで、決済機能を持つすべての暗号資産が全面的に規制される可能性が指摘されていた。
今回の規制は、すでにかなり前から言われていたこうした懸念が現実になったものである。その意味では、かなり以前から市場はこうなることを予期し、織り込み済みであった。
さらに今回の規制は、中国政府によっては最初のものではない。2009年のビットコイン登場以降、何度も規制を強化してきた。規制の初期には市場はパニックしたものの、すでに慣れっこになってしまい、あまり反応しなくなっている。