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FTX破綻は追い風?日米欧中が「デジタル法定通貨」導入へ本腰、政府に睨まれるとお金が使えない世界がやってくる=矢口新

FTXに続きブロックファイも破綻するなど仮想通貨に暗雲が立ち込めるなか、先進国はデジタル法定通貨(CBDC=Central Bank Digital Currency:中央銀行デジタル通貨)の導入を真剣に検討している。政府の狙いは国民の「管理」だ。(『 相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー 相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー 』矢口新)

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※本記事は矢口新さんのメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』2022年11月28日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

各国がデジタル法定通貨に邁進

FTXの破綻で、暗雲が立ち込めたかのような仮想通貨だが、一方で、日米欧中はデジタル法定通貨(CBDC=Central Bank Digital Currency:中央銀行デジタル通貨)の導入を真剣に検討している。

先行しているのは中国のようで、人民銀行が国有大手銀行を中心とする「認可された運営機関」に対してデジタル人民元を発行し、それを他の商業銀行や資金移動業者を通じて、個人や店舗に広く払い出すというもののようだ。また、現時点ではデジタル人民元に金利を付けることは想定されていないようだ。加えて、その発行や利用者への提供に際して手数料等は生じないとされている。

デジタル人民元は主として国内のリテール取引の決済に使われ、ウォレットにはスマートフォンやウエアラブル端末上で利用できるソフトウエア型と、ICチップを使ったハードウエア型とがあり、さまざまな利用者のニーズに応えられるものにするようだ。

一方、人民銀行は「管理可能な匿名性」という考え方を打ち出しているという。取引相手には利用者の情報は秘匿される一方で、人民銀行には匿名性は保証しないというものだ。もっとも、デジタル人民元の取引を通じて収集される情報は「法律上の定めがない限り」、人民銀行が他の政府機関や第三者に対してこれらの情報を提供することはないとされている。

現金取引と同様の匿名性を確保するためには、個人情報を一切提供しないタイプのウォレットも認められるようだが、これは取引額や保有残高の上限が最も低く設定され、日常の少額決済での利用に限定されるというものだ。

氏名、生年月日、銀行口座情報など、提供する個人情報の質や量が増えるにつれて上限額が引き上げられるウォレットを複数設定できるという。
※参考:中国デジタル人民元の特徴を解説、注目の「ウォレット」構造とは? | きんざいOnline | ダイヤモンド・オンライン(2021年11月10日配信)

ビットコインやイーサリアムなど、ブロックチェーン上の仮想通貨は流動性が保証されているわけではない。一方で、デジタル法定通貨は発行国の政府が流動性を保証し、場合によっては価値も支えることになる。

Next: やがて現金は駆逐される?政府に睨まれるとお金が使えない世界が到来

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