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働き方改革ではなく改悪。安倍政権「外国人受け入れ拡充」に反対せよ=三橋貴明

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016年9月15日号より
※本記事のタイトル・リード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

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日本に必要なのは、外国人労働者「中抜き」ビジネスではない

外国人労働者受け入れ拡大は「反・資本主義」的である

昨日、講演のお仕事で名古屋に行った際に、現在の土木・建設業界では急激に「i-Construction(アイ・コンストラクション)」の導入が進んでいると聞き、心強く感じました。i-Constructionとは、ICT土木等の技術を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図る取組のことです。

何度か例に出していますが、ドローンで三次元測量を実施し、建機にデータをインプット。ほぼ、自動的に土木の施工をしてしまう。もちろん、人間は「判断」するために必要ですが、冗談でも何でもなく、非熟練工であっても熟練工「以上」の施工ができてしまうそうです。

しかも、下手をすると熟練工よりも「ムラがない」形で施工ができてしまう。i-Constructionは、土木・建設現場の生産性向上はもちろんのこと、「品質向上」にも貢献するそうです。う~む、「技術」恐るべし、という感じです。

もちろん、土木・建設業界に限った話ではありませんが、「少子高齢化による生産年齢人口比率の低下がもたらす、超人手不足」という課題に対し、各現場は「技術投資」「設備投資」という正しい手法、厳密には「資本主義国として正しい手法」によって立ち向かおうとしているのです。

それにも関わらず、政治家たちは「反・資本主義」的な手法に走る。すなわち、外国人労働者受け入れ拡大です。

9月下旬にも初会合が開かれる「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)に関する政府の対応方針の全容が判明した。正規・非正規労働者間の賃金差を縮小する「同一労働同一賃金」の実現や、長時間労働是正に加え、外国人労働者の受け入れに向けた法制の検討も盛り込んだ。このほか、「格差を固定化させない教育」や「子育てや介護などと両立しやすい環境」など幅広い課題を検討する考えだ。<中略>

外国人労働者の受け入れは現在、研究者や医師など専門分野に限って認めている。その他、技能実習生なども含め約90万人の外国人労働者がいる。しかし、少子高齢化が進む中、将来的な人手不足をにらんで外国人労働者受け入れを求める声が自民党を中心に強まり、同党は5月、人手不足の深刻な介護や農業、旅館などでの推進を提言。これを受け実現会議も見直しの議論を始める方針を決めた。

ただ、国内の雇用への悪影響に関する考慮など論点は多く、国民の理解を得る必要もある。ある与党幹部は「政府としては将来に向け、今から検討することに意味があるのだろう」と指摘しており、来年3月の実行計画では明確な方針を打ち出さない可能性もある。<後略>

出典:働き方改革:外国人受け入れ拡充 政府検討 – 毎日新聞

「政府としては将来に向け、今から検討することに意味があるのだろう」この与党幹部が誰か知りませんが、意味などありません。

現時点で「将来に向け」検討して意味があるのは、生産性向上のための四投資、すなわち「設備投資」「人材投資」「公共投資」「技術投資」の四つを、いかに日本国において速やかに実現するか、になります。

Next: 最高のビジネスチャンス(儲け時)に外国人労働者を増やすという愚

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