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「アメリカへのマネー一極集中」を予想し身構えるマーケット=田口美一

この1ヵ月、ほとんど世界の株価は横ばい

さらに広い範囲のマーケットについて見てみます。全世界の平均で見ると、年初来は3%と上がっているものの、この1ヵ月で見ると、大統領選を踏まえて見てもほとんど世界の株価は横ばいなのです。

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実は、上昇しているのはアメリカと日本、中国のみで、ヨーロッパもトントンです。それ以外の、例えばエマージングは6%も下落しています。BRICsも5%、イギリスも3%下げています。これは、明確に資金がアメリカに戻るというストーリーが、市場を駆け巡っているということを示しているのです。

通貨についてみると、ドル円は急激に戻してきています。ユーロドルは横ばい圏内ややドル高ですが、元は売られていて、どの通貨で見てもドル高が進んでいるわけです。

1980年代に共和党から出たレーガン大統領は、元映画スターで、カリフォルニア州知事を経て大統領になったわけですが、彼の行ったレーガノミクスと今回のトランプ氏の政策をだぶらせて考える見方が多く聞かれています。同じ共和党であり、トランプ氏は国を挙げてアメリカを復活させると主張しているからです。

トランプ氏の経済政策はレジュームチェンジをもたらすか。ドル金利が焦点に

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レーガン大統領の時の為替レートを確認してみると、確かにドル円はドル高方向に動きました。今からは想像がつきませんが1ドル250円、どこの国の通貨かと思う水準です。レーガン大統領の一期目、1981年から85年まではドル高がどんどん進みました。アメリカの復活を掲げていたからです。

ところがこれはやり過ぎで、アメリカの輸出企業を中心に業績が苦しくなってきたのです。そこで、レーガン大統領はニューヨークに世界の国の中央銀行総裁と財務大臣を集めました。日本からは当時の澄田日銀総、竹下大蔵大臣が呼ばれました。

2人ともお忍びで、ゴルフに行く格好をしてゴルフ道具を持って車に乗り、成田からニューヨークへ向かったと言われています。ニューヨークのプラザホテルに召集がかけられ、いよいよドル高修正の時が来たのです。このレジュームチェンジにより250円だった為替は一気に100円台前半へと押し下げられました。今回もこうしたことが起きる可能性があるのです。

実はその時始まった円高がずっと続き、民主党政権末期の、80円を切るところまで続いたのです。失われた25年と言われるように、長い間日本経済は円高に苦しむことになります。この円高の動きはアベノミクスによって変わったと言われていますが、ここ1年は再び円高方向に進んできていました。

それがまたトランプ氏の登場により、現在は他の国の通貨と同じようにドル高が進んできているわけです。過去には大きなレジュームチェンジがあったことを踏まえると、安心してこれで大丈夫とは言い切れませんが、かなり急激な変化が起きていることは事実です。

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