「愛国倒産リスク」に怯えるアパホテル、破裂寸前の2つの爆弾とは?

アパホテルの客室に「南京大虐殺」を否定する内容の書籍が置かれていた問題では、複数の旅行会社がアパホテルへの送客中断を発表、中国人客の予約キャンセルなどが相次いでいますが、その影響はさらに広がりを見せそうです。

複数の報道によると、1月23日現在、中国の連休時には3万円超えの宿泊料金を付けることもあった東京都内のアパホテルが、高騰時の3分の1程度(1万円以下)まで値下げされているとのこと。アパホテルのこれまでの躍進は、需要の強弱に応じ柔軟に価格を変更して売上の最大化を図る「レベニューマネジメント」戦略に支えられてきました。それだけに、騒動で宿泊料金を下げざるを得なくなったアパホテルが、今後も成長路線を維持できるかどうかは極めて不透明です。

無料メルマガ『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』の著者でMBAホルダーの安部徹也さんは、騒動前の2017年1月5日に、「アパホテルは順調に成長しているように見えるが、急成長の歪みが必ずや内部の至る所で噴出しているはず」と分析。アパホテルは資金面人材面に大きな問題を抱えていると指摘していました。

アパホテル「絶望の値下げラッシュ」が経営危機に繋がる2つの理由

快進撃を続けてきたアパホテル

アパホテルが、ホテル業界での存在感を増しています。2010年4月にスタートした中期5ヶ年計画「SUMMIT5」では、「一点突破・全面展開」をキーワードに、宿泊特化型ホテルだけではない総合ホテル産業としての更なる成長とブランド力アップを実現し、都心3区でホテル棟数No.1という高い目標を掲げて、挑戦を続けてきました。

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結果として、東京23区内だけでもアパホテルの客室数は1万室を超え、全国では提携ホテルを含めると当初の目標であった4万室を大きく上回る5万1,896室を達成しました。この急成長に伴い、2015年の売上高は900億円に達し、1,751億円の売上高でホテル業界トップに君臨する西武ホールディングスとの差を確実に狭めてきているのです。

続く2015年4月からは、「SUMMIT5」の勢いをさらに加速すべく、「SUMITT5-Ⅱ」と名付けた新たな中期5ヶ年計画を策定し、客室数10万室、2020年度のホテル部門の売上高1,200億円など更なる高い目標を掲げ、日本でダントツNo.1のホテルチェーンとなるべく快進撃を続けているのです。

驚異的な成長の背景

驚異的な成長を遂げるアパホテルですが、その背景には何があるのでしょうか?ひとつの大きな要因としては、外部環境の好調さが挙げられるでしょう。つまり、アパホテルだけが快進撃を続けているのではなく、ホテル業界全体が好景気の恩恵にあずかっているということなのです。

ここ数年ホテル業界は空前のブームに沸いています。特に東京や大阪、京都といった大都市圏のビジネスホテルは稼働率が80%前後に達し、予約がなかなか取りづらい状況になっています。

この理由として、訪日外国人の急増が挙げられます。日本を訪れる外国人の数は、2012年には836万人程度でしたが、2013年に1,000万人を超えると、2016年は10月までの統計ですでに2,000万人を超えるなど、わずか4年で3倍近い増加を記録しているのです。

更に政府は、東京オリンピックが開催される2020年までに訪日外国人の数を4,000万人まで増やす計画を立てており、今後も益々日本を訪れる外国人の数が増えることが見込まれています。

訪日外国人が増えれば、宿泊施設が当然必要ということで、今やホテルの建設ラッシュが大都市を中心に展開されているのです。つまり、このような好調なホテル需要の高まりを受けて、アパホテルも積極的な拡大路線に邁進しているということなのです。

Next: アパホテルの快進撃を支えた「3つの戦略」は今後も本当に有効なのか?

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