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ワクチン開発の3社、なぜ「モデルナ」だけ株価高騰?2021年相場を読む=房広治

コロナウイルスのワクチン開発を進めるアストラゼネカ、ファイザー、モデルナ。この3社のうち、モデルナのみ株価高騰の状況にある。その理由を解説したい。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)

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※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2020年12月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

明日の株価は誰にもわからない

読者さんの質問から、多くの人々が疑問に思うことだと思うので紹介します。

「<前略>コロナワクチンが12月頭より徐々に配布が始まりつつある様ですが、関連企業の株価について気になり、房さまの知見を賜りたく存じます。

アストラゼネカ、ファイザー、モデルナ、この3社が開発の先頭にあると認識しておりますが、モデルナのみ株価高騰の状況です。ワクチンの性能、輸送費、開発速度諸々考慮してもモデルナにのみ資金が集まる意図が分かりかねます。

何か特別なマーケティング宣伝があったのでしょうか?ご考察あらば、教授願いたく存じます」

まず、これが良い質問であるのは、私に明日の株価がどうなるのかを訊いてこなかったということです。

時々、株価はどうなるのかとか、FXはどうなるのかという質問を受けますが、そういう質問は、無視します。ウォーレン・バフェットだって、ジェフ・ベゾスだって、ピーター・リンチだって、皆、日々の上げ下げは、分かりません。

将来のある日に、次の日の円ドルがどちらの方向に動くか、株価がどちらの方向に向かうかが確実にわかることがあれば、その時に合わせて、大量にお金を借りて、レバレッジ555倍かけられる市場に全財産と借入金をつぎ込めば、ウォーレン・バフェットに追いつける理屈になります。

そのことから考えても、世の中に、誰もそんなことが分かる人がいなかったという証明になるのではないかと思います。全体の流れについて、60%正解を出せれば、大儲けができるというのが、私の理論です。

モデルナは世界初の技術を持つ「ベンチャー企業」

そして今回、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカの株価がどうなるのかを観ているのは、次回からの勉強になります。

まず、ファイザーとアストラゼネカは巨大な薬品会社で、それぞれ時価総額は昨年末で世界の5番目と10番目にいたということ。モデルナは10年前にできた「ベンチャー企業」であるというのが、一番の株価への影響の違いです。

そして、ワクチンの違いとしては、ファイザーとモデルナは、mRNA(メッセンジャーRNA)という手法を使ったワクチンであるというのが特徴だと言われています。

すなわち、オックスフォード大学の開発したアストラゼネカのワクチンは、今までのワクチンの製造と変わらないのに対して、mRNAを使った手法であれば、「薬」寄りの化学的に製造することができるという理論を、今回世界で初めて実証しようとしているのです。
※参考:伝令RNA – Wikipedia

モデルナはmRNAに特化した会社で、1987年にできたギリアド・サイエンシズという抗ウイルス剤の研究をしている会社の株価が今までどのように動いたのか、それを見るほうが近いのです。

ちなみに、ファイザーもアストラゼネカも、モデルナやギリアドのように、ヘブライ大学のハラリ教授の言う「B × C × D」が重要だと理解しています(B=Biology、C=Computing Power、D=Data)。

医薬業界は、コンピューターの進化をいち早く取り入れ、ゲノム解析は、最初の人の解析に2,000億円と10年ぐらいかかっていたのが、現在ではそれ以上の精度で、3時間を2万円で受けることができます。今回、ワクチンの開発から世の中に広まるまで、従来の10年から1年半に短縮できそうなのは、まさにIT技術の発達をうまく組み合わせた結果なのです。

アストラゼネカの治験に参加中

まぐまぐ大賞2020で、メディア賞「MONEYVOICE賞」の2位をいただきました。特に、質問をしていただき、メルマガやまぐまぐLiveで取り上げさせていただきました読者の方々に感謝しています。

今年は、コロナ一色でした。Oxford Vaccine Groupのオーナーである小児科学部のホランダー学部長と、電子カルテと遠隔診断の必要性と設計を2年前からしていた私の周りの人々は、コロナの件で、一躍有名になりました。

最近では、アストラゼネカがトライアルでのワクチンの量を間違えるという基本的なポイントでやらかしてしまったために、ファイザーに比べて影が薄くなってしまった、オックスフォード大学の医学部。

最初に世界のメディアから注目されたときに、ここぞとばかりに自分の名前を売り込んでいた若い教授が、自己宣伝が過ぎると大学で問題になったりしました。

私自身もオックスフォード大学とアストラゼネカが共同開発中の新型コロナウイルスのワクチン治験に参加して、ワクチンの治験がどうなっているのかを初めて知ったり、昨年までは、考えもしなかったことをいろいろ経験できました。

今回、イギリスの医学専門誌のLancetで、アジア系の治験への参加者がいかに少ないかが分かったので、引き続き、日本人の中では、私しか経験できないこと、知り得ないことを、来年も報告できればと思っています――

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image by:rafapress / Shutterstock.com

房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』(2020年12月11日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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