韓国と台湾はどうやって力を付けた?
日本勢がシェアを減らす過程で、逆にシェアを伸ばしたのは、韓国と台湾です。
特に台湾はファウンドリで形態でシェアを伸ばし、TSMCやフォックスコン・テクノロジー(鴻海)のような巨大企業が生まれました。
最初は、ファウンドリの力は弱く、製造を委託する半導体製造会社の方が立場は強かったのですが、徐々にTSMCのようなファウンドリ側が技術力を付けてきて、今ではファウンドリがなければ成り立たなくなっており、力関係が逆転してしまいました。
例えば、コロナで巣篭り需要が増加しゲーム等の半導体需要が急増したことで、ファウンドリの製造キャパシティが足りなくなり、トヨタなどの自動車メーカー向け半導体の製造が間に合わないことで、自動車メーカーが減産を強いられるという現象が起きています。
半導体が欲しい企業の方は、ファウンドリ会社が優先的に供給してくれるようにお願いするしかない状況です。
水平分業が進む半導体業界
ちなみに半導体製造の過程を話しますと、設計やそれに関わる技術、特許に関してはほとんどアメリカ企業が押さえています。
半導体を作るための半導体製造装置は日本がかなり強く、グローバル15社のうち8社を日本の会社が占めています(その他はアメリカ4社、EU2社、中国1社となっています。2019年データ)。
その他、半導体製造の為の材料であるシリコンウェーハ、フォトレジスト等でも日本企業は高いシェアを有しています。
半導体製造では、世界半導体IC(Integrated Circuit 半導体集積回路)の市場シェアによると、2019年の調査で、アメリカのシェアは55%、韓国が21%、EU7%、台湾6%、日本6%、中国6%となっています(垂直統合型とファブレスを合計したシェア)。
ただし、このシェアには、TSMCがインテルから製造の委託を受けて製造するようなファウンドリサービスの売上は二重計上になってしまうため、含まれていません。
実質の製造された国ベースで見ると、台湾などのシェアがずっと高くなります。
ボストン・コンサルティング・グループによると、工場立地別のシェアだと、韓国が1位、台湾が2位でこの2カ国で42%を占めています。日本が3位、中国が4位で、アメリカは5位になります。
逆い言いますと、アメリカの半導体メーカーはファブレス化が最も進んでいると言えます。