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五輪中止で困るのは米国とIOC。「女性蔑視」に世界激怒も決断できぬ裏事情=原彰宏

政治がらみで見る騒動の行方

森氏が東京五輪開催中止に引導を渡したと言う人もいます。

森喜朗氏は、謝罪会見当日、会長職を辞任するつもりでいたのを、周囲の政官財、スポーツ関係者が「余人をもって代え難い」と口をそろえて慰留したそうです。元総理の肩書が欲しいそうです。つまり、五輪開催において、各県知事にダイレクトに電話できる立場であり、政治家にも抑えが効く存在だからだそうです。元総理の肩書はそれほど大きいようです。

またIOCバッハ会長は、「森氏謝罪会見でこの話は終わった」という立場を示しています。

米放映権が大きな収入源だけに、米NBCの意向は無視できません。ようは五輪開催は、IOCではなくバイデン米大統領の手に委ねられたということなのでしょうかね。

世界的自粛状況下での五輪開催は、視聴率が大きく期待できます。それゆえ、日本国内で東京五輪開催に消極的な日本の国民感情を思えば、森発言問題を早く沈静化させたかったのでしょう。

また、政治と一線を画すのが五輪精神なのですが、ノーベル平和賞への意欲を持つとされるトーマス・バッハ氏は、むしろ政治との距離を縮めてきました。

2018年平昌五輪で、開催国韓国と北朝鮮の開会式合同行進やアイスホッケー女子の合同チーム案を両国政府とともに推し進めたことや、今回の東京五輪では、5月の聖火リレーに合わせ、被爆地広島を訪問する意向を示しているようです。

すべてノーベル平和賞受賞という野望によるものだと噂されています。

ここでもバッハ会長は、森喜朗氏の元首相という立場で、未だに各国首脳と太いパイプを持っていることに注目しているようで、それが森氏擁護とも取れる発言につながったのではないでしょうか。

とにかく東京五輪を、誰もが政治的判断で開催したいのです。

直接的な五輪経費に加え、都の関連経費や会計検査院の試算を含めれば、3兆円規模の投資となった東京五輪が頓挫すれば、日本経済にとって大ダメージとなります。

五輪開催成功の勢いで総選挙に望みたい菅政権にとって、五輪中止はありえません。

小池都知事も森氏辞任を表明しないのも、「五輪つぶしの都知事」のレッテルを貼られるのを恐れてのことで、「五輪を成功させた都知事」としてさらなる高み、つまり中央に復帰して女性初の総理の座を狙いたいのでしょう。

若者の女性を中心とした今回のムーブメントは、これら男社会の政治の都合を、“わきまえた”「女性都知事」の私欲を、はねかすことができるのでしょうか。

もういい加減、五輪をアスリートのもとに返してあげてほしいのですがね。

英紙は東京五輪「中止」と報道

1月21日、英国タイムズ紙は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日本政府が水面下で東京五輪中止を結論付け、2032年開催確保を目指していると報じました。

情報源は「与党幹部の一人」となっていますが、この報道を受け、日本側は即座に「ありえない」と記事内容を否定しました。

いま五輪開催が決まっているのは、以下の都市です。

2024年:パリ
2028年:ロサンゼルス

そして、2032年以降は白紙です。五輪開催に大きなお金がかかることや、今回のコロナによるゴタゴタで、立候補する都市は無いのではとも危惧されています。

それゆえ、2032年東京開催は、妙な真実味を帯びているようです。この場合日本側も、五輪「中止」ではなく「延期」と表現できます。

ただこの情報のネタ元ですが、英タイムズ紙の「東京五輪内密中止説」は、誰が言っているか、日本政府の誰が述べているのかを明らかにしていません。

原文だと「According to a senior member of the ruling coalition (連立与党の上級メンバーの誰か)」という表現になっています。つまり情報ネタがあやふやだということです。

ただ英国タイムズ紙がこのようにはっきりと中止を記事にしたのは、日本の国民感情として、もう開催は無理だ、むしろ開催を望んでいない風潮にあることが、この程度の信憑性でも記事にした要因になっているようです。

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