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五輪中止で困るのは米国とIOC。「女性蔑視」に世界激怒も決断できぬ裏事情=原彰宏

森喜朗氏の「女性蔑視」発言が海外を巻き込んで事件化しています。英紙は東京五輪中止を早々に報じましたが、この“事件”が中止の引き金になるのでしょうか。不可解なのは、五輪招致に貢献したとされる「嘉納治五郎記念センター」がひっそりと昨年末に活動終了していること。東京五輪の闇は深そうです。(『らぽーる・マガジン』原彰宏)

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※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2021年2月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

森喜朗氏「女性蔑視」発言が事件化

東京五輪に関する事件が起きました。東京五輪大会組織委員会森喜朗会長の、不適切発言です。これはもはや「事件」です。

「女性がたくさん入っている理事会の会議は、時間がかかります」「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」「ラグビー協会は(女性理事がいるので)倍の時間がかかる」「(組織委委員会の女性は)みんなわきまえておられて非常に役立っている」

今の時代において「女性って」という枕詞なり主語を使う時点で、すでに“アウト”ですね。

この発言をした会合では、森氏は40分も喋り続けたそうです。気分が良くなり、サービス精神から、場を和ませるつもりで発したのでしょう。

記者会見からもわかる通り、森氏本人は、自分の発言がなぜ問題視されるのかはまったく理解していないと思われます。

心の底から、発言内容が“悪い”とは思っていないようです。

女性蔑視とも取れる発言は一部の支持者層には受けが良いので、特に選挙前では、このようなジェンダー差別発言とも取れるものは、批判覚悟であえて発することが、自民党議員の間ではよく見られます。

選挙のためならジェンダー差別はいとわない。この風潮がある限り、永田町での男性社会という構図はなくなりそうになく、女性を敵にまわしたら選挙では勝てないという仕組みになれば、女性地位向上は実現できそうなのですがね。

そんな動機が必要というところに、まさに日本政治家の劣化を見るようです。

オリンピックとジェンダー問題

オリンピックとジェンダー問題に関しては、IOCのアスリート支援プログラム『Athlete365』のサイト上で、「オリンピック大会におけるジェンダー平等の実現に向けてさらなる前進」と題して、以下の文言を載せています。

IOC理事会はオリンピック大会に出場する選手たちの間におけるさらなるジェンダー平等を促進する目的で策定された、新たな方策を承認しました。

・東京2020オリンピックでは、史上初めて各国のNOCに男性および女性メンバーが最低1人ずつ含まれます。
・さらに、各NOCは、開会式において共同で旗手を務める選手を男女1人ずつ選出することができます。
・新たに導入されたこれら2つの方策は、オリンピック大会における完全なジェンダー平等を実現するというIOCのコミットメントの強化を示すものです。

出典:大会におけるジェンダー平等 – Athlete365

オリンピックとジェンダー問題は、オリンピック大会そのものがジェンダー差別撲滅を目指しているのだという基本方針があることを、ここで確認しておきたいと思います。

この精神の上に、森会長の発言があるということを理解しておきましょう。

Next: 日本社会に根付くジェンダー差別。決して世界は許さない

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