Q5:その企業の1株当たり利益(EPS)は安定成長しているか
決算年度 | EPS(円/株) | 前年比成長率 |
---|---|---|
2014 | 186.78 | -12.8 |
2013 | 214.28 | -12.2 |
2012 | 243.98 | 2.4 |
2011 | 238.22 | -9.6 |
2010 | 263.64 | 8.7 |
2009 | 242.45 | 64.6 |
2008 | 147.31 | 18.5 |
2007 | 124.32 | 8.9 |
2006 | 114.18 | 90.8 |
2005 | 59.85 |
年平均EPS成長率:12.1%
高いですね。年12%の利益成長率というのはなかなか達成できるものではありません。
しかし、明らかに途中から減収に傾いています。リーマンショックがあったのは、2009年以降なので、2011年から減収に傾くというのは、少し違和感がありますね。
ちなみに、売上は一貫して伸び続けているのです。
売上が伸びているのに、利益が伸びていない原因として考えられるのは、コストが増加していることです。何のコストが増加しているのでしょうか?
飲食店のコストの主な要因は3つだけです。
- 原材料費
- 人件費
- 光熱水費
このうちどれが上昇しているのでしょうか?
売上高に対して、どのくらいの割合で数値が上昇しているのか見てみましょう(単純な数字だけ見ても、売上高が伸びているのであれば、材料費が増えるのは当然です。売上が増えた時に、一定の比率を保てていることが大事なのです)。
1.原材料費
まずは原材料費から見てみます。
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 68290 | 70947 | 74307 | 76222 | 75772 |
原材料費 | 19978 | 21009 | 21749 | 23089 | 22686 |
売上高に対する 原材料費の割合 |
29.25% | 29.61% | 29.27% | 30.29% | 29.94% |
ここに関しては、そこまで大きな変動はありませんね。ただし、豚肉が高騰していることから、2015年あたりは、一時上昇する可能性があります。ただし、過去5年は心配するほどのぶれはなく、安定しています。そこまで大きな問題とは言えないでしょう。
また、最近は円高傾向にあります。円の実質実効レートは円高がまだ続くことを示していますので、長期的には、原材料費の調達は、安く済む可能性が高いと考えます。
※実質実効レートで「円の真の実力」を知る – 日経電子版
2.人件費
次に人件費を見てみましょう。
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 68290 | 70947 | 74307 | 76222 | 75772 |
役員報酬(a) | 326 | 329 | 335 | 321 | 295 |
給料手当(b) | 8194 | 8563 | 9083 | 9567 | 10156 |
雑給(c) | 9623 | 10187 | 10906 | 11191 | 11464 |
福利厚生費(d) | 2762 | 3051 | 3417 | 3629 | 3709 |
人件費(a+b+c+d) | 21494 | 22756 | 24406 | 25393 | 26326 |
売上高に対する 人件費 |
31.47% | 32.07% | 32.84% | 33.31% | 34.74% |
※金額は全て百万円
※雑給は、直営店におけるパートタイマー給与
こちらは上昇し続けています。特に、給料手当て、雑給の伸びが激しく、売上の増加に対しても、明らかに人件費がかさみ過ぎています。
ブラック企業として選ばれてしまったり、裁判を起こされてしまったりと、いろいろなことが重なり、人件費が高騰しているわけですね。
ただし、何も対策を取っていないわけではありません。
2016年2月のニュースによれば、埼玉県の工場が4月稼働し、ギョーザの製造工程を店舗から移して効率化することのこと。これにより、労働環境も改善するとのこと。
これが人件費を抑えることにつながれば、強みを増すでしょうね。
私はその可能性はあると考えています。特に王将は、餃子という共通のメニューを作っているだけに、大量生産できる部分はまだまだあると考えられます。積極的に人件費削減への努力をして欲しいですね。