ユニクロ株は割高? 7年先の成長まで織り込まれている
何が言いたいのかというと、ユニクロもすでにかなり大きな規模になっているので、1年で2倍とか3倍とかになる企業ではありませんし、ビジネスモデルとしてもどんどん店舗を構えて服を作り続けないといけないので、倍々ゲームで増えるような会社じゃなくて年率10パーセントぐらいの成長率というのが妥当なのではないかというところになります。
この年率10%の成長は「72の法則」というのを知っている人はわかるかと思うのですが、72をこの年率成長率で割ると複利で計算した時に何年でその数字が2倍になるのかということがわかります。
72を10で割るので、およそ7年でユニクロの業績は2倍になるということができます。
仮にユニクロが成長してこれから利益が2倍になった時のPERは、利益が2倍ですから今66倍のPERに対してこれが半分になって33倍という数字が出てくるのですが、この33倍というのが過去のユニクロのPERにおける平均的な水準とほぼ一致します。
どういうことかと言うと、ユニクロの株価の成長というのは、業績が2倍になるということを既に織り込んでいて、これにかかる時間が7年なので、逆に言えば今後7年間成長せず株価が上がらなくてもおかしくない業績が今の株価に織り込まれていると言えます。
この7年間株価が横ばいでもおかしくない、逆に言えば今株価が半分であってもおかしくないという、そういう数字になっています。
これを割高と言わずして何と言うかというところです。
向こう7年、日経平均が横ばいをたどる可能性もある
なので、想定されるシナリオとしては今後7年間ファーストリテイリングの株価がまったく上がらないということも想定されます。
それはすなわち日経平均も横ばいをたどる可能性が高いというのもシナリオとしてあります。
また何らかのショックなどによってファーストリテイリングの株価も適正水準にまで戻って、株価が半分になっても、それもまたおかしくないということになります。
では、今この瞬間に仮にユニクロのファーストリテイリングの株価が半分になったらどうなってしまうのかということを計算すると、単純計算ですが今の構成率は12.79%ありました。これが半分になるということですから、日経平均が半分の6.4%無くなってしまうということです。
すなわち日経平均が6.4%下落とするということですから、今の数字から計算すると2万8,300円になるということになります。
この2万8,300円という数字を見ると、現状の相場全体の感覚と非常に近いのではないかと思います。
つまり今、日経が3万と騒がれていますけれども、実態としてはこの2万8,000円ぐらいの数字というのが、皆さんの実感としてあるところではないかと思います。