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なぜ日本は世界から「性差別大国」と批判されるのか。汚名返上に必要な2つの視点=斎藤満

2周回遅れの対応を続ける日本

世界経済フォーラムなどが指摘するように、日本では男女間の格差が、特に政治経済分野で大きくなっています。

実際、国税庁の「民間給与実態調査」によると、2019年の平均年収は、男性の540万円に対して、女性は296万円で、男性の6割にも満たない水準です。

ただし、女性は給与水準の低い非正規雇用が5割を超えているのに対し、男性は12%程度という事情もあります。

ちなみに、正規雇用の平均年収503万円に対し、非正規雇用の年収は175万円と、こちらは正規雇用の3分の1に留まっています。女性が賃金の安い非正規雇用の形を多くとっていることが、女性の給与を低くしている面があります。

政府は、こうした「ジェンダー・ギャップ」を埋めようと、同一労働同一賃金の推進、女性の登用率の引き上げなどを企業に求めています。しかし、なぜ女性が賃金の低い非正規雇用を選択しているのか、その背後の事情を考えないと、いくら企業に女性の処遇改善を求めても、数字のつじつま合わせで終わってしまいます。

女性が働くことによる社会保険料負担や、子育て、家事との両立を図る形の労働形態を選択せざるを得ない状況、さらには夫の収入だけでは生活がままならない状況など、様々な要素が背後にあります。

こうした状況を変えないで、「女性活躍」の数字を上げようとしても、意味はありません。数字の上で周回遅れでも、その対応は2周遅れの感もあります。

「ジェンダー・ギャップ」と「女性蔑視」は必ずしもイコールではない

日本には古くから「男尊女卑」という言葉があり、女性差別の「実績」がある国と見られています。

明治の開国以降、西洋に倣えの男女平等を取り入れ、教育や女性参政権などで制度の改善を進めてきましたが、歴史や生活習慣、風習は簡単に変わらないものもあります。今でも女人禁制の神社があり、大相撲の土俵に女性を上げないことが批判されます。

確かに日本にはこうした女性差別の事実があまた見られます。しかし、その一方で昔から「山の神」と、女性をあがめたてる考えがあり、夫婦の間でもこうした言葉がしばしば使われます。数字に表れる「ジェンダー・ギャップ」と、女性蔑視とは必ずしもイコールではありません。

男女平等が進んでいるとされる米国でも、あからさまな女性蔑視発言をする大統領がおりました。また物理的に腕力、体力面では男女の格差が現実にあり、力仕事を男女同条件で行うことは決して平等とは言えません。また、子孫を残すうえでも、男女が役割を交代することはできません。生物学的に男女は異なる機能を備えています。

問題は、こうした違いを無視して、数字的に男女均等な結果を求めることが本当に女性にとって幸せなのか、社会的に豊かさをもたらすものなのか、保証がないことです。

Next: 日本のジェンダー・ギャップ解消に必要な2つの視点

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