人為的に引き起こされるものもある
このフラッシュクラッシュは、極めて人為的に行われるケースも市場では確認されています。
<スイス中銀が引き起こしたフラッシュクラッシュ>
ひとつは2015年1月15日にスイス中銀がそれまで永続的に対ユーロで介入すると公言していたものを、「介入原資がなくなったのでやめることにしました」と発表したことで起きたフラッシュクラッシュです。
こんなことを言えば多くの市場参加者が飛びつくのはわかり切った話で、ある意味では確信犯的なものであったといえます。
このときには国内ではアルパリが事業を撤退することにまでなり、たまたまポジションをもっていて爆益になった人もかなりの時間をかけてようやく決済されるといった非常事態に陥ることになります。
故意に引き起こしたことではないと言う人もいますが、結果が見えているなかでこうした発言を中央銀行が行ったのは、ほとんど故意といってもかまわないのではないでしょうか。
<トルコリラ円をきっかけにしたフラッシュクラッシュ>
また2019年1月3日に起きたのは完全に作為的なクラッシュで、正月三が日の箱根駅伝競走の復路がスタートする30分前くらいに、まずはトルコリラ円が大きく下げ、ドル円も連動してフラッシュクラッシュが起きてしまったようです。
この場合は、何者かが正月の誰も取り引きしないような時間帯を狙って作為的に下落を作り出したようで、一定以上の大きな売りが持ち込まれることで相場は大きく下落し、それにほかのアルゴリズムがリアルに反応して暴落の幅を大きく広げる形になりました。
こちらの場合は108.900円辺りだったドル円が本当に瞬間的に104.766円レベルまで4円13銭程度まで下落していますから、クロス円なども被害は大きく、一瞬で証拠金を失った方も多いと思います。
これはスイス中銀のケースよりも完全に確信犯で、この時間帯にやってやろうと思った首謀者がいるはずです。
昨年3月9日はある意味自然に起きた暴落か
さて、昨年の3月9日東京タイムでのドル円の大幅下落は、すでに週明けのアジアタイムから窓が開いており、東京タイムに入ってから仲値も終わった11時頃にいきなり104.211円あたりの寄り付きから、その後いきなり101.592円までの下落を示現することとなりました。
その値幅は2円ちょっとでしたが、当時リアルにチャートを見てましたところ、滝のようにするする相場が下落することとなりました。
あえて仲値をはずして大玉を持ち込んで来た向きがいたのかもしれませんが、その動きにやはりアルゴが追随して、比較的大きな下落を示現することになったのでしょう。
実際にはその後のNYタイムでさらに下値を模索する動きになりましたから、暴落して暴騰するフラッシュクラッシュとはかなり異なるものになったことは事実です。
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