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ひとり親世帯の8割が養育費を受け取れぬ現実。貧困家庭を生む2大要因と解決策=俣野成敏

“賢いユーザーになる”ために必要なこと

養育費問題で注目されているのが、兵庫県明石市の取り組みです。

2018年度より明石市では、公正証書があるのに養育費を受け取れていない世帯を対象に、市が委託した保証会社が養育費を立て替え、支払人から養育費を徴収する制度を導入しました。
※参考:養育費を肩代わり、明石市が保証会社と連携 19年1月に実証開始 – 日本経済新聞(2018年10月30日配信)

2021年には、市が自ら養育費を立て替え、支払人に請求する制度を始める予定で、支払い能力がありながら応じない者には、氏名の公表も視野に入れる、ということです(氏名公表は、子どもの同意が前提になる模様)。
※参考:明石市、不払い養育費 独自に立て替え検討: 日本経済新聞(2019年11月18日配信)

ところで、ひとり親世帯の実情はどうなのでしょうか。多田さんにお伺いしたところ、「相対的に、悩んでいるのは若い方が多い」といいます。

「現在は、市区町村によって、支援制度に差があるのは事実です。とはいえ、どこもひとり親世帯の窮状は知っているので、何かしらの救済策は用意していると思います。たとえば交通費を安くしたり、家賃補助をしたり、子どもの医療費補助をしている、などです。けれども、困っている人ほど生活に手一杯となり、そうした支援を十分に受けられていなかったり、そもそも制度があることすら知らない人が多かったり、というのも現実としてあります。」(多田さん談)

現状では、養育費代行サービスは開始したばかりということもあって、まだひとり親世帯の方にとって、身近なものにはなっていないようです。行政がなかなか追いつかない中にあって、以後は養育費代行サービスが業界を刷新していくことを期待したいところです。

養育費代行サービス「詐欺」にも要注意

今後、養育費代行サービスが広まってきた際に、気をつけたいのが詐欺の横行です。

参入者が多くなれば、選択肢も増える代わりに、詐欺まがいのところも入ってきます。中には、弱者につけ込む輩もいますから、十分注意が必要です。

新たなサービスを利用するに、ユーザーに求められる基本スタンスとしては、「相手の言うことを鵜呑みにしない」ことが挙げられます。高いサービスには高いなりの理由があり、安いサービスには安いなりの理由がありますから、こちらのかける手間や支払う金額と、それによってできることとを比較し、検討することが大切です。

国の制度は、現在進行形で改正が図られており、2021年2月10日に開催された法制審議会第189回会議において、上川陽子法相が離婚後の法制度の見直しを諮問しました。今後、養育費や親権の在り方などについて審議されます。
※:離婚時の養育制度、法制審へ諮問 動産担保の明記も検討: 日本経済新聞(2021年2月10日配信)

ちなみに、2019年の民法改正の時は、法務大臣の諮問から制度改正までに、3年近くの歳月が費やされています。

Next: 養育費は「親の義務」であり「子どもの権利」

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