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ahamoより強力なドコモの「主砲」とは?完全子会社化後の決算で判明、他社を圧倒する5G戦略=シバタナオキ

ドコモ完全子会社化前後の決算を見ると、これまでの戦略と今後の狙いが見えてきます。5G普及を見越してどう戦うのか。ドコモの成長戦略を読み解きます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2021年3月日31号の内容です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

Q. ドコモの完全子会社化が完了したNTT。明らかになったNTTの5G戦略とは?

A. 5Gの2つの特性を活かしたC向けとB向けの両張りで競争優位性を構築する戦略
・戦略その1: コンシューマー向け携帯回線はARPUを下げてでも純増を続ける
・戦略その2: グループ企業の再編を通して、B向け5G携帯回線にフォーカスする

2020年末にNTTドコモを完全子会社化するという発表をしてTOBが成立したNTTグループが、初めて決算を発表しました。

今日の記事では、ドコモの完全子会社の狙いを改めておさらいするとともに、今後どのようにNTTグループが競争戦略を実行しようとしているのか、発表から読み解いていきたいと思います。
※参考・画像出典:日本電信電話株式会社 2020年度 第3四半期決算について
※参考・画像出典:NTTドコモ 2020年度 第3四半期決算について
※参考・画像出典:日本電信電話株式会社 会社説明会 2020年12月

NTTグループの決算概要

初めに、改めてNTTグループの2020年10月から12月期の決算をおさらいしておきましょう。

20210409シバタ01

2020年4-12月の9ヶ月間で、営業収益は8.7兆円でYoY▲1.4%、営業利益は1.5兆円でYoY+3.6%となっています。

連結の決算書を見ると、これまでの NTTグループの決算と大きく変わっていないようにも見えますが、もう少し詳しく内訳を見ていきましょう。

NTTのグループのセグメントのおさらい

NTTグループのセグメントをおさらいしておきましょう。

20210409シバタ02

NTT グループの体制は、この図にあるように一番上から、

・移動通信事業
・地域通信事業
・長距離・国際通信事業
・データ通信事業

という風に分かれています。

この図では NTTドコモの議決権比率が66.2%となっていますが、TOBが完了したのでドコモが100%になったという点が大きな変更点です。少し古い数値ではありますが、売上・営業利益共に移動通信事業が稼ぎ頭になっていることが読み取れるのではないかと思います。

20210409シバタ03

今回の決算における、NTTグループ全体としての営業収益と営業利益の比較を見てみると、営業収益に関しては長距離・国際通信事業で大きな減少が目立つ一方で、営業利益に関しては移動通信事業と長距離・国際通信事業、そしてデータ通信事業で大きく増加しています。

では、この度TOBが完了した移動通信事業であるNTTドコモの決算もおさらいしておきましょう。

Next: NTTドコモ「最後」の決算で見えたこれまでの戦略。今後の武器は?

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