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東電株は超長期で大暴騰へ。「脱炭素」は原発再稼働の呪文、経産省の狙いは売却益=山崎和邦

「自然に優しく」という言葉の嘘

人類の知恵は進歩する。筆者に言わせれば、文明とは人類と自然との闘いであった。そして常に人類が勝ってきた。今回のコロナ禍もそうである。攻撃の意思は持っていないが、コロナは生物である。この生物との闘いである。必ず人類が勝つ。700年前の欧州のペストとの闘いも3割の国民が死亡しても、結局は生き残ったのはペスト菌ではなくて人類だった。ニュートンが外出禁止になって紙と鉛筆しかなかったので、万有引力や微積分や宇宙の法則を発見した1665年という年も、ペスト禍で外出禁止だった年だ。結局は人類が勝った。

「自然に優しく」などと平気で言う人がいるが、これは大変な「上から目線」で傲慢な考えだ。本当は自然の方が人類より強い。津波や台風を見ていれば判る。「自然に優しく」などと、したり顔で言うのは、動物園の檻の中の猛獣や管理された自然林を見て、これが野獣だ、これがジャングルだと錯覚している人々の言い分である。自然の中に入ったら人類ほど無能なものはない。

筆者は、長野県下伊那郡で猟銃を持って1シーズンに2~4頭の鹿や猪を撃ってきた。ゴルフとともに長年続けた狩猟の趣味だった。猟銃を持って山野を跋渉すれば判るが、人間ほど無能なものはない。頭脳・聴力・視力・嗅覚・身体能力において猪や鹿にはかなわない。銃を持ってこそ平等になるのだ。銃を持って獣を殺すのは良くないなどと言うのは本当の自然を知らない人だ。

そして、自然の方が人類より強いことは事実であるが、人類には自然現象や野獣に勝る知能を持っているし、知能を分け合って工夫するし、そういう力を持っている。結局は人類が勝ってきた。核廃棄物との闘いも、結局は人類が勝つ。

どういう形で勝つかは判らない。宇宙のゴミとして飛ばしてしまえ、などと筆者は無知だったからそういうことを言ったこともある。ところが、1キロのものを宇宙に飛ばすのに何億円もかかるのだという。最初に宇宙に出たソ連のガガーリン少佐は、スラブ民族に人には珍しく体重50キロの小男だったという。そのぐらい宇宙にものを飛ばしてしまうことは費用がかかるらしい。

だが、これもやがて人類が勝つ。宇宙のゴミとして飛ばすとか、あるいは月世界に各国ごとに借地権を設定して、月面に放棄するとか、そのようなことができる日が来る。月面に人類が着陸して歩いた時から、既に52年を経た。結局は人類が勝つ。

文明は人類と自然との闘いであったが、結局は人類が勝ってきたことを思えば、経産省は東京電力の筆頭株主である。柏崎市長も原発推進派が昨年当選した。村長も原発推進派が当選した。県知事だけが反対している。来年は県知事選挙がある。

経産省が狙っているのは東電株の売却益

経産省は原発賛成派を当選させたい。経産省が東京電力の筆頭株主であるが(49%の筆頭株主の名義は原子力損害賠償支援機構)この取得価格は平均300円だという。これは確かな筋からの話だ。半ば公表済みだ。

経産相では株価1,500円で売却すれば、核廃棄物の処理の全部を東電株売却益で出るという計算をしている。これも確かな筋の話である。柏崎にある7基の原発装置のうちの6号基と7号基が作動しただけで、東京電力の経常利益は2000億円上乗せになる。つまり、東電は約2倍の経常利益となる。そして原子力委員会は既に6号基・7号基は稼働に合格だと言っている。問題は世論だけである。世論もやがては目覚める。

「脱炭素で協調主導を狙う米国」であるが、この脱炭素の中で排出源の3割弱に上るのは発電部門だ。今はこれに焦点が当たらない。今それを言い出すと世論にまずいと思っているからだ。やがて言い出す時期が来る。これが人類と自然の闘いである。大変な大所高所からものを説く口調で述べたが、本音を述べたまでである。

本稿では1月4日の270円時代の東京電力のことを述べ、1月29日に444円まで行って2,100社ある第一市場の中で上昇率は5番目だった。これは行き過ぎだ。

1ヶ月以内で270円のものが174円幅を上昇するというのは、64%の上昇である。ちょうど黄金分割比を少し超えたところだ。いいところで天井を突いた。黄金分割比だと、発会の270円から言えば62%高は437円のはずだった(270円×1.62≒437円)。だから444円で止まったことは、誠に理屈通りだったのだ。

【関連】東電急騰で見えた「株バブルの臨界点」週足が暗示する全体相場の行方=山崎和邦

そこで長大陰線を引いた時に、本稿では「第1ラウンドは終わった、ひとまずは東電の相場は終わった」と述べたのだが、今から先はメディアが東電のことを悪く言えば言う程、改めて東電を買い直す絶好の機会が近づいてくると見たい。

ちなみに東電は1株当たり純利益は81円。したがって、今の株価収益率は約4倍。一株当たり純資産は1,262円。したがって、PBRは約0.3倍である。PERは約4倍でPBRは約0.3倍。しかも国家が筆頭株主だから潰すはずはない。

経産省は原発部門だけを抽出して別法人をつくり出す案も省内にはある。そのためには、東京電力の時価総額が○兆円であることが望ましいという意見が2018年前半に在った。それを発行株数で割れば一株当たりが900円~1,400円になる。これは2018年に筆者がやった計算であり、東京電力株を当時400円割れと400円近辺を一生懸命に真剣に買った。

そしてその1年内に760円ぐらいが来たから、650円から上は全部売ってしまった。不思議に東京電力の株価は筆者と相性が合う。その頃、読者の一人がセミナーに見えて東電の4万株保有株をいつ・いくらで売ろうかと迷っておられた。「今、ご貴殿が考えるべきことは東電の社内の事ではなく、自分の心を決めることです」と筆者は生意気なことを言ったが、その方から「700円を超えてところで全部売り抜けた」とメールをもらった。肝心なことは自分の心だ。利益も損も自分の胸の中にある。

Next: パリ協定に原発は組み込まれているはずだ

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